ヤマトホールディングスとSGホールディングスの違い
一言でいうと: 宅急便のヤマトと、佐川急便を中核とするSGホールディングス
2026年3月期の営業収益はヤマトホールディングス1兆8,657億円がSGホールディングス1兆6,448億円を上回りますが、営業利益はSGホールディングス902億円がヤマトホールディングス283億円の3倍を超えます。宅配個数はヤマト19億4,100万個、SGグループの国内宅配便13億6,000万個と、個数と利益の順序が逆になる対比です。
なぜこの2社を比べるのか: 国内宅配の代表的な2グループです。宅急便と佐川急便という中核事業を持ちながら、2026年3月期の営業利益率には1.5%と5.5%という開きがあります。規模、個数、利益の出どころの違いを比べます。
ヤマトホールディングスの事業の仕組み
ヤマトホールディングスの事業はエクスプレス、コントラクト・ロジスティクス、グローバル、モビリティ、その他の5つです。2026年3月期の外部顧客への営業収益は、エクスプレス事業1兆5,580億円、コントラクト・ロジスティクス事業1,646億円、グローバル事業975億円、モビリティ事業220億円、その他235億円でした。宅急便を中心とする小口貨物輸送への集中が明確です。
利益面では集中と逆の姿になります。セグメント利益はグローバル事業82億円が最大で、コントラクト・ロジスティクス事業62億円、その他66億円、モビリティ事業52億円と続き、エクスプレス事業は23億円にとどまります。国際輸送と海外コントラクト・ロジスティクスを担うグローバル事業や、法人のサプライチェーン全体を支援するコントラクト・ロジスティクス事業が、利益面では宅配本体を上回っています。
SGホールディングスの事業の仕組み
SGホールディングスは、佐川急便のデリバリー事業を中核に、ロジスティクス・不動産などを展開する総合物流グループの持株会社です。デリバリー事業は佐川急便の宅配便を中核とし、国内宅配便取扱個数は13億6,000万個です。45の国と地域にグローバルネットワークを持つとされています。
ロジスティクス事業は3PLや国際フォワーディングなどです。2026年3月期にはMorrison Express Worldwide Corporationなど34社を新たに連結対象とし、国際物流を強化しました。不動産事業・その他は物流施設などの不動産事業やグループ各社の事業です。なお、掲載レコードではSGホールディングスのセグメント別の営業収益・利益は確認できなかったため、部門別の利益の内訳はこの原稿では比べません。
| 項目 | ヤマトホールディングス | SGホールディングス |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆8,657億円(2026年3月期) | 1兆6,448億円(2026年3月期) |
| 営業利益 | 283億円(2026年3月期) | 902億円(2026年3月期) |
| 営業利益率 | 1.5%(2026年3月期) | 5.5%(2026年3月期) |
| 当期利益 | 137億円(2026年3月期) | 591億円(2026年3月期) |
| 時価総額 | 7,099億円(2026-10-30時点) | 8,712億円(2026-10-30時点) |
| PER | 38.9倍(2026-10-30時点) | 14.5倍(2026-10-30時点) |
| ROE | —(未確認) | 10.5%(2026年3月期) |
| 自己資本比率 | 44.6%(2026年3月期) | 44.4%(2026年3月期) |
| 有利子負債 | 1,253億円(2026年3月期) | —(未確認) |
| 現金及び現金同等物 | 2,378億円(2026年3月期) | 929億円(2026年3月期) |
| 売上高(予想) | 1兆9,200億円(2027年3月期 通期予想(決算短信)) | 1兆7,400億円(2027年3月期 通期予想(決算短信)) |
| 年間配当 | 46円(2026年3月期) | 53円(2026年3月期) |
| 配当利回り | 2.34%(2026-10-30時点) | 3.63%(2026-10-30時点) |
| 平均年収 | 1,248万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与)) | 786万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与)) |
| 平均年齢 | 36.4歳(2026年3月期(提出会社単体)) | —(未確認) |
| 平均勤続年数 | 10.3年(2026年3月期(提出会社単体)) | —(未確認) |
| 従業員数(連結) | 174,696人(連結従業員数(2026年3月期)) | 105,764人(連結従業員数(2026年3月期)) |
| 決算月 | 3月 | 3月 |
| 創業 | 1919年11月 | —(未確認) |
| 本社 | 東京都中央区銀座二丁目16番10号 | —(未確認) |
| 証券コード | 9064 | 9143 |
対象期は原則として両社とも2026年3月期の数値です。
売上高
営業利益
営業利益率
当期利益
時価総額
PER
ROE
自己資本比率
有利子負債
現金及び現金同等物
売上高(予想)
年間配当
配当利回り
平均年収
平均年齢
平均勤続年数
従業員数(連結)
決算月
創業
本社
証券コード
グラフで比べる
2社の違いを読み解く
ヤマトホールディングスの事業は、宅急便を中心とするエクスプレス事業が中心です。2026年3月期のエクスプレス事業の外部顧客への営業収益は1兆5,580億円と、連結営業収益1兆8,657億円の83.5%を占めます。宅急便・宅急便コンパクト・EAZYの取扱個数は19億4,100万個↓ 前期比1.0%減でした。ところがセグメント利益は23億円にとどまり、売上の集中度と利益の薄さが際立つ構成です。
SGホールディングスは佐川急便のデリバリー事業を中核に、ロジスティクス事業、不動産事業などを展開します。国内宅配便取扱個数は13億6,000万個で、2026年3月期の連結営業収益は1兆6,448億円、営業利益は902億円でした。ヤマトホールディングスより営業収益は小さい一方、営業利益は3倍を超え、当期純利益も591億円とヤマトホールディングスの137億円を大きく上回ります。
成り立ちでは、ヤマトホールディングスは1919年に東京・銀座で大和運輸として創業し、1976年に宅急便を発売しました。SGホールディングスの起源は1957年に佐川清が京都で開始した飛脚業で、1965年に佐川急便を設立し、1998年に宅配便サービス(現・飛脚宅配便)を開始しています。宅配便への参入時期に約20年の差がある2社です。
利益の仕組みを掘り下げると、ヤマトホールディングスでは売上最大のエクスプレス事業よりも、規模の小さい事業のほうが利益を出しています。2026年3月期のセグメント利益はグローバル事業82億円、コントラクト・ロジスティクス事業62億円、モビリティ事業52億円と、いずれもエクスプレス事業の23億円を上回りました。宅配の個数を増やすことと利益を出すことが直結しない構造が、数字から読み取れます。
違いのポイント
- ヤマトはエクスプレス事業が外部売上の83.5%(1兆5,580億円)を占めるが、セグメント利益は23億円にとどまる(2026年3月期)
- SGホールディングスの営業利益は902億円で、ヤマトの283億円の3倍超(2026年3月期)
- 宅配の取扱個数はヤマト19億4,100万個、SGグループの国内宅配便13億6,000万個
- ヤマトのグローバル事業(セグメント利益82億円)とコントラクト・ロジスティクス事業(同62億円)がエクスプレス事業を利益で上回る
- SGホールディングスは2026年3月期に34社を新たに連結対象とし、国際物流を強化した
財務と株主還元
2026年3月期の損益は対照的です。ヤマトホールディングスは営業収益1兆8,657億円↑ 前期比5.8%増、営業利益283億円(同99.2%増)とほぼ倍増しましたが、当期純利益は前期の特別利益の反動で137億円(同64.0%減)でした。SGホールディングスは営業収益1兆6,448億円(前年比11.2%増)、営業利益902億円、当期純利益591億円です。営業利益率はヤマトホールディングス1.5%、SGホールディングス5.5%と開きがあります。
財務と還元では、自己資本比率はヤマトホールディングス44.6%、SGホールディングス44.4%とほぼ同じ水準で、ROEはSGホールディングス10.5%です(ヤマトホールディングスのROEは掲載レコードにありません)。年間配当はヤマトホールディングス46円(配当性向106.8%)、SGホールディングス53円(同54.0%)でした。2026年10月30日時点のスナップショットでは、時価総額はヤマトホールディングス7,099億円、SGホールディングス8,712億円、配当利回りはそれぞれ2.34%、3.63%です。
人と組織
連結従業員数はヤマトホールディングス174,696人、SGホールディングス105,764人(2026年3月期)です。ただしヤマトホールディングスの連結従業員数には非常勤87,349人が含まれ、提出会社自体は純粋持株会社で18人、最大の事業会社であるヤマト運輸の常勤社員は76,882人です。提出会社単体の平均年間給与はヤマトホールディングス1,248万円(平均年齢36.4歳、平均勤続10.3年)、SGホールディングス786万円です。ヤマトホールディングスの単体数値は従業員18人の持株会社のもので、グループ全体の処遇とは母集団が異なる点に注意が必要です。
沿革から見る現在地
ヤマトホールディングスは1919年11月に大和運輸株式会社として東京・銀座で創業し、1935年に関東一円の定期便ネットワークを完成させました。1976年に宅急便を発売し、2005年に純粋持株会社への移行に伴い現在の商号へ変更しました。2013年には大型物流拠点「羽田クロノゲート」が竣工し、2019年に創業100周年を迎えています。
SGホールディングスの歩みは、1957年に佐川清が京都で飛脚業を開始したことに始まります。1965年に佐川急便株式会社を設立し、1977年に全国ネットワークが完成、1998年に宅配便サービスを開始しました。2006年に純粋持株会社SGホールディングスを設立し、2017年に東京証券取引所市場第一部へ上場、2020年に物流拠点「Xフロンティア」が完成しています。
読むときの注意点
- SGホールディングスについては、掲載レコードでセグメント別の営業収益・利益が確認できていません。そのため、ヤマトホールディングスの部門別利益とSGホールディングスの部門別利益を並べる比較はできません。比べられるのは連結全体の営業収益・営業利益・当期純利益と、宅配個数などです。
- ヤマトホールディングスの当期純利益の減少は、前期に本社ビル等のセール&リースバックに伴う特別利益を計上した反動と説明されています。また配当性向106.8%は、当期純利益が小さい期に配当46円を維持した結果であり、単独で還元方針の変化と読まないことが大切です。
まとめ
この比較で見えるのは、宅配の規模と利益が比例しないことです。ヤマトホールディングスは取扱個数19億4,100万個と営業収益で上回りながら、利益は宅配本体以外の事業に支えられています。SGホールディングスは個数13億6,000万個と小さいながら、2026年3月期に営業利益902億円を計上しました。個数の順位ではなく、営業利益率1.5%と5.5%という差に注目することが、この2社を比べる要点です。
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数字の出典と確認日は各社の企業ページに記載しています(この比較の確認日: 2026/11/05)。