SUBARUとマツダの違い
一言でいうと: 米国市場が中心のSUBARUと、広島本社のマツダ
2026年3月期は売上ではマツダが4兆9,182億円とSUBARUの4兆7,850億円をわずかに上回る一方、営業利益はSUBARU401億円、マツダ516億円と両社とも米国の追加関税の影響等で大きく減りました。当期利益はSUBARU908億円、マツダ351億円です。単体の平均年収はSUBARU約764万円、マツダ約711万円です。
なぜこの2社を比べるのか: 国内自動車メーカー同士です。米国市場への依存度が高く、2026年3月期にそろって大幅減益となった2社について、事業構成と利益の出た地域の違いを比べます。
SUBARUの事業の仕組み
SUBARUの事業は自動車と航空宇宙、その他に分かれます。2026年3月期の自動車事業は自動車ならびにその部品の製造、販売および修理を行う事業で、外部顧客に対する売上収益は4兆6,383億円、営業利益は321億円と、連結売上収益4兆7,850億円の約97%を占めます。米国販売子会社スバル オブ アメリカ インクの売上高は3兆4,224億円と連結の7割超を占めており、米国市場が売上の中心です。トヨタ自動車と業務資本提携関係にあり、同社が議決権の21.5%を保有するその他の関係会社とされています。
航空宇宙事業は航空機、宇宙関連機器ならびにその部品の製造、販売および修理を行う事業で、売上収益1,417億円、営業利益35億円でした。不動産の賃貸などを含むその他ではセグメント利益36億円があります。自動車への集中度は高いものの、航空宇宙という自動車以外の区分を持つ点が、単一セグメントのマツダとの違いです。
マツダの事業の仕組み
マツダの事業は乗用車の生産・販売を行う自動車事業の単一セグメントで、2026年3月期の売上高は4兆9,182億円、営業利益は516億円、グローバル販売台数は1,223千台でした。区分は一つですが、地域別の営業利益が開示されており、北米1,675億円、欧州180億円、その他327億円と黒字の地域がある一方、日本は1,618億円の営業損失となっています。
本社は広島県安芸郡府中町にあります。地域別では北米が利益を牽引する構造で、北米市場への依存度が高いことが決算参考資料に基づくレコードで示されています。SUBARUのように航空宇宙など自動車以外の事業区分はなく、自動車事業の中で地域ごとの損益の差が大きく表れる構成です。
| 項目 | SUBARU | マツダ |
|---|---|---|
| 売上高 | 4兆7,850億円(2026年3月期) | 4兆9,182億円(2026年3月期) |
| 営業利益 | 401億円(2026年3月期) | 516億円(2026年3月期) |
| 営業利益率 | 0.8%(2026年3月期) | 1%(2026年3月期) |
| 当期利益 | 908億円(2026年3月期) | 351億円(2026年3月期) |
| 時価総額 | 1兆9,103億円(2026-10-30時点) | 6,842億円(2026-10-30時点) |
| PER | 21.21倍(2026-10-30時点) | 19.46倍(2026-10-30時点) |
| ROE | 3.3%(2026年3月期) | —(未確認) |
| 自己資本比率 | 50.6%(2026年3月期) | —(未確認) |
| 有利子負債 | 3,845億円(2026年3月期) | —(未確認) |
| 現金及び現金同等物 | 1兆53億円(2026年3月期) | 1兆837億円(2026年3月期) |
| 売上高(予想) | 5兆2,000億円(2027年3月期 通期予想(決算短信)) | 5兆5,000億円(2027年3月期 通期予想(決算短信)) |
| 年間配当 | 115.5円(2026年3月期) | 55円(2026年3月期) |
| 配当利回り | 4.35%(2026-10-30時点) | 5.07%(2026-10-30時点) |
| 平均年収 | 764.4万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与)) | 711.2万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与)) |
| 平均年齢 | 40歳(2026年3月期(提出会社単体)) | 42.5歳(2026年3月期(提出会社単体)) |
| 平均勤続年数 | 15.7年(2026年3月期(提出会社単体)) | 17.7年(2026年3月期(提出会社単体)) |
| 従業員数(連結) | 37,542人(連結従業員数(2026年3月期)) | —(未確認) |
| 決算月 | 3月 | 3月 |
| 創業 | 1953年7月15日 | 1920年1月30日 |
| 本社 | 東京都渋谷区恵比寿1-20-8 エビススバルビル | 広島県安芸郡府中町新地3番1号 |
| 証券コード | 7270 | 7261 |
対象期は原則として両社とも2026年3月期の数値です。
売上高
営業利益
営業利益率
当期利益
時価総額
PER
ROE
自己資本比率
有利子負債
現金及び現金同等物
売上高(予想)
年間配当
配当利回り
平均年収
平均年齢
平均勤続年数
従業員数(連結)
決算月
創業
本社
証券コード
グラフで比べる
2社の違いを読み解く
SUBARUの事業は自動車が中心で、2026年3月期の自動車事業は売上収益4兆6,383億円と連結売上収益4兆7,850億円の約97%を占め、営業利益は321億円でした。もう一つの区分である航空宇宙事業は売上収益1,417億円、営業利益35億円で、航空機や宇宙関連機器ならびにその部品を扱います。その他ではセグメント利益36億円があり、自動車以外の事業を持つ点がマツダとの構成上の違いです。
マツダは自動車事業の単一セグメントで、2026年3月期の売上高は4兆9,182億円、営業利益は516億円でした。地域別の営業利益では北米が1,675億円と最大の黒字で、欧州180億円、その他327億円が続く一方、日本は1,618億円の営業損失となっています。グローバル販売台数は1,223千台でした。地域別では、北米の黒字が日本の損失と対照的に表れています。
米国への依存の表れ方にも差があります。SUBARUは米国販売子会社スバル オブ アメリカ インクの売上高が3兆4,224億円と連結売上収益の7割超を占め、2026年3月期は米国の追加関税の影響等で営業利益が↓ 前期比90.1%減の401億円まで減少しました。マツダも米国の追加関税が営業利益を1,549億円押し下げたと決算説明資料で示しており、営業利益は↓ 前期比72.3%減の516億円でした。関税の影響額が金額で示されているのはマツダ側です。
成り立ちでは、SUBARUは1917年に中島知久平氏が航空機の研究所を創設したことを創業とし、1953年に富士重工業株式会社として設立され、1987年にいすゞ自動車との合弁で米国生産会社を設立、2017年に株式会社SUBARUへ商号変更しました。航空機を前身とすることが、現在の航空宇宙事業につながっています。マツダは1920年に東洋コルク工業株式会社として広島で創業し、1931年に三輪トラックの生産を開始して自動車事業へ本格進出し、1984年にマツダ株式会社へ商号変更した歩みを持ちます。
違いのポイント
- SUBARUは自動車事業が売上収益4兆6,383億円と連結の約97%を占め、航空宇宙事業1,417億円も持つ
- マツダの地域別営業利益は北米1,675億円が最大で、日本は1,618億円の営業損失(2026年3月期)
- マツダは米国の追加関税が営業利益を1,549億円押し下げ、営業利益は↓ 前期比72.3%減の516億円
- SUBARUは営業利益が↓ 前期比90.1%減の401億円で、米国販売子会社の売上高が連結の7割超
- 2027年3月期予想は両社とも営業利益1,500億円で、売上はSUBARU5兆2,000億円、マツダ5兆5,000億円
財務と株主還元
2026年3月期は両社とも大幅減益の期でした。SUBARUは売上収益4兆7,850億円↑ 前期比2.1%増と増収ながら、営業利益は401億円(同90.1%減)、営業利益率0.8%、親会社の所有者に帰属する当期利益は908億円(同73.1%減)でした。マツダは売上高4兆9,182億円(同2.0%減)、営業利益516億円(同72.3%減)、営業利益率1.0%、親会社株主に帰属する当期純利益351億円(同69.2%減)です。営業利益ではマツダが上回り、当期利益ではSUBARUが上回るというねじれがあります。
財務と還元では、SUBARUの親会社所有者帰属持分比率は50.6%、ROEは3.3%、有利子負債は3,845億円、現金同等物は1兆53億円です。マツダは総資産4兆4,795億円、純資産1兆9,059億円、現金同等物は1兆837億円とレコードにあり、自己資本比率やROEは掲載されていません。年間配当はSUBARUが115.50円で、大幅減益下でも維持した結果、配当性向は92.0%となりました。マツダは55円です。2026年10月30日時点のスナップショットでは時価総額はSUBARU19,103億円、マツダ6,842億円、配当利回りはSUBARU4.35%、マツダ5.07%でした。2027年3月期予想はSUBARUが売上収益5兆2,000億円、営業利益1,500億円、マツダが売上高5兆5,000億円、営業利益1,500億円としていますが、会社予想の数値です。
人と組織
連結従業員数はSUBARUが37,542人(2026年3月期)で、マツダについてはレコードに連結従業員数の掲載がなく、単体従業員数22,857人と有価証券報告書に基づく転載値が示されています。提出会社単体の平均年間給与はSUBARUが約764万円、マツダが約711万円で差は約53万円です。平均年齢はSUBARU40.0歳、マツダ42.5歳、平均勤続年数はSUBARU15.7年、マツダ17.7年と、マツダの方が年齢・勤続とも高くなっています。
沿革から見る現在地
SUBARUの創業は1917年に中島知久平氏が群馬県太田町(現太田市)に航空機の研究所を創設したことに始まります。1953年に富士工業株式会社など第二会社5社の共同出資により富士重工業株式会社として設立され、1987年にいすゞ自動車株式会社との合弁により米国生産会社(現スバル オブ インディアナ オートモーティブ インク)を設立しました。2006年にトヨタ自動車株式会社と業務提携し、2014年に本店所在地を渋谷区恵比寿へ移転、2017年に株式会社SUBARUへ商号変更、2019年にトヨタ自動車と新たな業務資本提携に合意しています。
マツダは1920年1月30日に東洋コルク工業株式会社として広島で設立され、コルク製品の製造から創業しました。1927年に東洋工業株式会社へ商号変更し、1931年に三輪トラックの生産を開始して自動車事業へ本格進出しました。1984年に東洋工業からマツダ株式会社へ商号変更しています。コルク製品から始めて自動車へ進出した歩みは、航空機を前身とするSUBARUとは対照的です。
読むときの注意点
- 会計基準が両社で異なります。SUBARUはIFRS、マツダは日本基準で開示しており、売上収益と売上高、営業利益の数値をそのまま同列に比べる際は注意が必要です。2026年3月期は両社とも米国の追加関税の影響を受けた異例の減益の期であり、SUBARUの営業利益は↓ 前期比90.1%減、マツダは同72.3%減と、単年度の利益水準だけで通常の収益力を判断することはできません。関税の影響額1,549億円はマツダの決算説明資料に基づく数値で、SUBARUについては影響額の金額はレコードに示されていません。
- 人の数字では、マツダの連結従業員数がレコードに掲載されておらず、従業員数の比較はSUBARUの連結37,542人とマツダの単体22,857人という対象の異なる数値しか確認できません。時価総額や配当利回りは2026年10月30日時点のスナップショットであり、現在の値ではありません。
まとめ
まとめると、2026年3月期のSUBARUとマツダは売上規模が4.8兆円と4.9兆円で近接しながら、そろって米国の追加関税の影響等で営業利益が大幅に減った期でした。SUBARUは航空宇宙事業を持ち当期利益908億円を確保し、マツダは地域別で北米の黒字と日本の損失が対照的に表れました。米国市場への依存という共通点と、事業構成や利益の出所の違いが要点です。
2027年3月期の会社予想では、両社とも営業利益1,500億円を掲げ、SUBARUは売上収益5兆2,000億円、当期利益1,300億円、マツダは売上高5兆5,000億円、当期純利益900億円としています。2026年3月期の営業利益がSUBARU401億円、マツダ516億円まで落ち込んだ後の予想であり、実績ではなく会社予想として読む必要があります。
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数字の出典と確認日は各社の企業ページに記載しています(この比較の確認日: 2026/11/05)。