TOTOとLIXILの違い
一言でいうと: 水まわりに絞るTOTOと、水まわり・建材・住生活へ広げるLIXIL
2026年3月期の売上はLIXIL1兆5,107億円がTOTO7,374億円の約2倍ですが、営業利益はTOTO538億円がLIXIL284億円を上回り、営業利益率は7.3%対1.9%です。TOTOは売上高674億円の新領域事業(セラミック)がセグメント利益289億円と最大の利益源です。自己資本比率はTOTO63.8%、LIXIL35.3%です。
なぜこの2社を比べるのか: 住宅設備大手同士の比較です。TOTOは水まわりとセラミックに絞る構成、LIXILは水まわりにサッシ等の建材とキッチン等の住生活を加えた構成で、売上規模と収益性で順位が逆転する対照が見られます。
TOTOの事業の仕組み
TOTOの事業は日本住設、米州、アジア・オセアニア、中国大陸、欧州の地域別住設事業と、新領域事業(セラミック)です。2026年3月期の売上高は日本住設事業4,797億円が中心で、海外住設は合計1,901億円と連結売上高の25.8%を占めます。海外では米州756億円が最大で、アジア・オセアニア549億円、中国大陸539億円、欧州57億円と続きます。
利益の構造は売上と異なります。セグメント利益は新領域事業(セラミック)289億円が最大で、日本住設事業203億円、アジア・オセアニア102億円、米州48億円の順です。セラミックは売上高674億円と全体の1割弱ながら利益では最大で、住設機器以外の事業が収益を支えています。一方、中国大陸事業は69億円、欧州事業は4億円のセグメント損失でした。
日本住設事業の売上高4,797億円は連結売上高の約65%にあたります。2027年3月期の予想は売上高7,850億円、営業利益600億円、当期純利益460億円、年間配当120円と、増収増益と増配を見込む形が決算短信発表時点で示されています。中国大陸事業の構造改革が進むかどうかが、海外住設の利益構成を見るうえでの論点です。
LIXILの事業の仕組み
LIXILの事業はウォーターテクノロジー、ハウジングテクノロジー、リビングの3セグメントです。2026年3月期の売上高はウォーターテクノロジー8,111億円、ハウジングテクノロジー5,257億円、リビング2,076億円でした(セグメント間取引含む)。リビングはキッチン・インテリア等の住生活製品で、2026年3月期から報告セグメントを3区分に再編して新設された区分です。
ウォーターテクノロジーはトイレ・浴室・洗面化粧台などの水まわり製品で、ドイツのGroheや米国のAmerican Standardなど海外ブランドを含みます。ハウジングテクノロジーはサッシ・玄関ドア・カーテンウォールなどの住宅外装・建材です。セグメント利益(会社定義の事業利益)はウォーターテクノロジー454億円、ハウジングテクノロジー267億円、リビング78億円でした。連結子会社は152社です。
2027年3月期の予想は売上収益1兆6,000億円、事業利益450億円、営業利益375億円、親会社の所有者に帰属する当期利益120億円で、年間配当は90円を据え置く予想です。主な子会社にはLIXILトータルサービス、Grohe AG、米国のASD Holding Corp.、LIXIL住宅研究所、TOSTEM THAIなどがあり、国内のサービス会社から海外ブランドまでを含む構成です。
| 項目 | TOTO | LIXIL |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,374億円(2026年3月期) | 1兆5,107億円(2026年3月期) |
| 営業利益 | 538億円(2026年3月期) | 284億円(2026年3月期) |
| 営業利益率 | 7.3%(2026年3月期) | 1.9%(2026年3月期) |
| 当期利益 | 403億円(2026年3月期) | 81億円(2026年3月期) |
| 時価総額 | 9,560億円(2026-10-30時点) | 4,779億円(2026-10-30時点) |
| PER | 20.5倍(2026-10-30時点) | 58.7倍(2026-10-30時点) |
| ROE | 7.7%(2026年3月期) | 1.3%(2026年3月期) |
| 自己資本比率 | 63.8%(2026年3月期) | 35.3%(2026年3月期) |
| 有利子負債 | 678億円(2026年3月期) | —(未確認) |
| 現金及び現金同等物 | 1,312億円(2026年3月期) | 1,156億円(2026年3月期) |
| 売上高(予想) | 7,850億円(2027年3月期 通期予想(決算短信)) | 1兆6,000億円(2027年3月期 通期予想(決算短信)) |
| 年間配当 | 110円(2026年3月期) | 90円(2026年3月期) |
| 配当利回り | 2.09%(2026-10-30時点) | 5.41%(2026-10-30時点) |
| 平均年収 | 781万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与)) | 729.6万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与)) |
| 平均年齢 | 45.2歳(2026年3月期(提出会社単体)) | 46.2歳(2026年3月期(提出会社単体)) |
| 平均勤続年数 | 18.9年(2026年3月期(提出会社単体)) | 20.3年(2026年3月期(提出会社単体)) |
| 従業員数(連結) | 30,324人(連結従業員数(2026年3月期)) | 48,073人(連結従業員数(2026年3月期)) |
| 決算月 | 3月 | 3月 |
| 創業 | 1917年5月15日 | 1949年9月 |
| 本社 | 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1 | 東京都品川区西品川 |
| 証券コード | 5332 | 5938 |
対象期は原則として両社とも2026年3月期の数値です。
売上高
営業利益
営業利益率
当期利益
時価総額
PER
ROE
自己資本比率
有利子負債
現金及び現金同等物
売上高(予想)
年間配当
配当利回り
平均年収
平均年齢
平均勤続年数
従業員数(連結)
決算月
創業
本社
証券コード
グラフで比べる
2社の違いを読み解く
TOTOの開示は地域別と新領域事業で、2026年3月期は日本住設事業が売上高4,797億円・セグメント利益203億円と売上の中心です。海外住設は売上高1,901億円と連結の25.8%で、米州756億円、アジア・オセアニア549億円、中国大陸539億円、欧州57億円と続きます。目を引くのは静電チャック等のセラミックを扱う新領域事業で、売上高674億円に対しセグメント利益289億円と、日本住設事業を上回る最大の利益源になっています。
LIXILは製品領域別の3セグメントで、2026年3月期はウォーターテクノロジーが売上高8,111億円・セグメント利益454億円と最大、ハウジングテクノロジーが5,257億円・267億円、リビングが2,076億円・78億円でした(セグメント間取引含む、利益は会社定義の事業利益)。ウォーターテクノロジーにはドイツのGroheや米国のAmerican Standardなど海外ブランドが含まれ、サッシや玄関ドアのハウジングテクノロジー、キッチン等のリビングが、水まわり以外の柱になっています。
成り立ちは対照的です。TOTOは1917年に東洋陶器として北九州で設立された単独の会社で、1980年に温水洗浄便座「ウォシュレット」を発売し、2007年に現社名になりました。LIXILは1949年に日本建具工業として創設され、トステムを経て、2011年にトステム・INAXなどの事業会社を統合する形で発足した会社です。水まわり一筋に近いTOTOと、統合で領域を束ねたLIXILという出発点の違いが、現在の事業構成に残っています。
数字の対照は鮮明です。2026年3月期の売上はLIXIL1兆5,107億円がTOTO7,374億円の約2.05倍ですが、営業利益はTOTO538億円、LIXIL284億円と逆転し、営業利益率は7.3%対1.9%、親会社株主に帰属する当期利益は403億円対81億円、ROEは7.7%対1.3%でした。TOTOは中国大陸事業で69億円のセグメント損失と事業再編費用152億円を計上しながら増益で、LIXILは会社定義の事業利益385億円と営業利益284億円が別に開示されています。
違いのポイント
- 売上はLIXIL1兆5,107億円がTOTO7,374億円の約2.05倍だが、営業利益はTOTO538億円がLIXIL284億円を上回る(2026年3月期)
- TOTOの新領域事業(セラミック)は売上高674億円に対しセグメント利益289億円と最大の利益源(2026年3月期)
- LIXILはウォーターテクノロジーが売上高8,111億円・事業利益454億円で最大(2026年3月期、セグメント間取引含む)
- 自己資本比率はTOTO63.8%対LIXIL35.3%、ROEは7.7%対1.3%(2026年3月期)
- TOTOの中国大陸事業は2026年3月期にセグメント損失69億円と事業再編費用152億円を計上した
財務と株主還元
2026年3月期の全社業績は、売上高TOTO7,374億円、LIXILの売上収益1兆5,107億円とLIXILが約2.05倍ですが、営業利益はTOTO538億円、LIXIL284億円とTOTOが上回ります。営業利益率は7.3%対1.9%、当期利益はTOTO403億円↑ 前期比230.8%増、LIXIL81億円、ROEは7.7%対1.3%です。LIXILは事業利益385億円が営業利益とは別に開示されています。
財務体質の差も大きくなっています。自己資本比率はTOTO63.8%、LIXIL35.3%で、TOTOは有利子負債678億円に対し現金及び現金同等物1,312億円と現金が上回ります。LIXILの現金及び現金同等物は1,156億円です。年間配当はTOTO110円(配当性向45.3%)、LIXIL90円(同317.7%)で、2026年10月30日時点のスナップショットでは時価総額はTOTO9,560億円、LIXIL4,779億円、PERは20.5倍対58.7倍でした。
総資産はTOTO8,275億円、LIXIL1兆8,839億円、自己資本はTOTO5,281億円、LIXIL6,648億円です。資産規模ではLIXILが2倍以上ですが、自己資本の差は小さく、自己資本比率の差にそのまま表れています。2026年10月30日時点の配当利回りはTOTO2.09%、LIXIL5.41%と、LIXILの方が高く出ています。
人と組織
連結従業員数はTOTO30,324人、LIXIL48,073人(2026年3月期)で、売上規模と同様にLIXILが多くなっています。提出会社単体の平均年間給与はTOTO781万円、LIXIL730万円で51万円の差があり、平均年齢はTOTO45.2歳、LIXIL46.2歳、平均勤続年数はTOTO18.9年、LIXIL20.3年と、両社とも勤続年数が長い点は共通します。
提出会社単体の従業員数はTOTO7,758人、LIXIL15,128人です。平均年間給与の原数値はTOTO7,812,740円、LIXIL7,296,288円で、平均年齢はLIXIL46.2歳がTOTO45.2歳を1歳上回り、平均勤続年数もLIXIL20.3年がTOTO18.9年より長くなっています。
沿革から見る現在地
TOTOは1917年に東洋陶器株式会社として設立され、1970年に東陶機器株式会社、2007年にTOTO株式会社へ社名を変更しました。1980年に温水洗浄便座「ウォシュレット」を発売し、2021年に共通価値創造戦略「TOTO WILL2030」を開始しています。北九州で生まれた衛生陶器の会社が、水まわり機器とセラミックへ広がってきた歩みです。
LIXILは1949年に日本建具工業株式会社として創設され、1971年にトーヨーサッシ、1992年にトステムへ商号変更しました。2011年に住生活グループの統合により株式会社LIXILが発足し、2020年には株式会社LIXILを吸収合併して事業会社となり、2022年に本社を東京都品川区西品川へ移転しています。建具・サッシ側の会社が、統合で水まわりを含む住宅設備・建材の大手になった点がTOTOと異なります。
読むときの注意点
- 会計基準とセグメント利益の定義が異なります。TOTOは日本基準、LIXILはIFRSで、LIXILのセグメント利益は会社定義の事業利益、TOTOのセグメント利益とは定義が揃いません。LIXILのセグメント売上高にはセグメント間取引が含まれ、3区分の合計は連結売上収益を上回ります。
- TOTOの2026年3月期には中国大陸事業の構造改革に伴う事業再編費用152億円と減損損失16億円が含まれ、中国大陸事業は前期(2025年3月期)にも減損損失341億円を計上しています。LIXILの配当性向317.7%は、当期利益81億円と小さい期に年間配当90円を維持した結果の数字として読む必要があります。
まとめ
まとめると、LIXILは売上収益1兆5,107億円と規模で大きく上回り、水まわり・建材・住生活の3領域を持ちますが、営業利益率は1.9%にとどまります。TOTOは売上が約半分ながら営業利益538億円でLIXILを上回り、セラミックの新領域事業が最大の利益源で、自己資本比率も63.8%と厚くなっています。規模のLIXILと収益性・財務の厚みのTOTOという、住宅設備大手同士の対照が明確な比較です。
見るべき点は、TOTOではセラミックの新領域事業の利益水準と中国大陸事業の構造改革の進み方、LIXILでは売上収益1.5兆円の規模に対して営業利益率1.9%がどう変わるかです。両社とも2027年3月期は増収増益の予想を示しており、予想と実績の開示で確認していく形になります。
数字の出典と確認日は各社の企業ページに記載しています(この比較の確認日: 2026/11/05)。