東京瓦斯と大阪瓦斯の違い
一言でいうと: 首都圏の東京ガスと、近畿圏の大阪ガス、東西の都市ガス大手
売上高は東京ガス2兆8,347億円が大阪ガス2兆303億円の約1.4倍(2026年3月期)ですが、営業利益率は大阪ガス8.6%が東京ガス7.0%を上回ります。当期純利益は東京ガス2,269億円でROEは13.2%対8.7%の一方、自己資本比率は大阪ガス54.4%が東京ガス44.1%より高く、年間配当は大阪ガス120円、東京ガス110円です。
なぜこの2社を比べるのか: ともに明治期に生まれた都市ガス事業者で、首都圏と近畿圏を基盤に、ガスに加えて電力や海外事業へ広げています。規模の東京ガスと、利益率と財務の厚みの大阪ガスという違いを比べます。
東京瓦斯の事業の仕組み
東京ガスの事業は、都市ガスの製造・供給・販売を中核に、電力事業、海外事業、エネルギー関連事業、不動産事業などを展開する構成です。首都圏を基盤とする日本最大の都市ガス事業者とレコードに記され、電力事業も拡大するとされています。2026年3月期の売上高(営業収益)は2兆8,347億円(2兆8,347億円)でした。
ただしレコードでは、セグメント別の売上高・利益は確認できなかったため数値を記載しないとされており、ガスと電力の内訳や事業ごとの利益は本ページのデータからは読み取れません。事業の姿は「都市ガス中核+電力・海外等への展開」という構成で捉え、規模や収益は連結全体の数字で読むことが前提になります。現金及び現金同等物の期末残高は1,870億円と開示されています。
大阪瓦斯の事業の仕組み
大阪ガスの事業は、国内エネルギー事業(ガス・電力)、海外エネルギー事業、ライフ&ビジネスソリューション事業の3セグメントで構成されます。公式決算資料では、2026年3月期の国内エネルギー事業の売上高は16,434億円と示され、連結売上高2兆303億円の約80.9%を占めます。近畿圏の都市ガスと電力を担う国内事業が売上の中心です。
海外エネルギー事業では、米国フリーポート液化基地(LNG)や米国上流事業が展開され、2026年3月期第3四半期には経常利益の増加要因になったと公式決算資料に記されています。なお大阪ガスのセグメント利益は、営業利益に持分法投資損益を加えた定義で開示される点が特徴で、レコードではセグメント利益の内訳は確定できなかったとして数値は記載されていません。Daigasグループの中核として、国内・海外・ソリューションの3分野を持つ構成です。
| 項目 | 東京瓦斯 | 大阪瓦斯 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆8,347億円(2026年3月期) | 2兆303億円(2026年3月期) |
| 営業利益 | 1,977億円(2026年3月期) | 1,748億円(2026年3月期) |
| 営業利益率 | 7%(2026年3月期) | 8.6%(2026年3月期) |
| 当期利益 | 2,269億円(2026年3月期) | 1,528億円(2026年3月期) |
| 時価総額 | 2兆1,300億円(2026-10-30時点) | 2兆2,700億円(2026-10-30時点) |
| PER | 9.95倍(2026-10-30時点) | 15.06倍(2026-10-30時点) |
| ROE | 13.2%(2026年3月期) | 8.7%(2026年3月期) |
| 自己資本比率 | 44.1%(2026年3月期) | 54.4%(2026年3月期) |
| 現金及び現金同等物 | 1,870億円(2026年3月期) | —(未確認) |
| 年間配当 | 110円(2026年3月期) | 120円(2026年3月期) |
| 配当利回り | 1.84%(2026-10-30時点) | 2.04%(2026-10-30時点) |
| 従業員数(連結) | —(未確認) | 21,835人(連結従業員数(2026年3月期)) |
| 決算月 | 3月 | 3月 |
| 創業 | 1885年10月1日 | 1897年4月10日 |
| 本社 | 東京都港区海岸一丁目5番20号 | 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 |
| 証券コード | 9531 | 9532 |
対象期は原則として両社とも2026年3月期の数値です。
売上高
営業利益
営業利益率
当期利益
時価総額
PER
ROE
自己資本比率
現金及び現金同等物
年間配当
配当利回り
従業員数(連結)
決算月
創業
本社
証券コード
グラフで比べる
2社の違いを読み解く
東京ガスは首都圏を基盤とする日本最大の都市ガス事業者で、都市ガスの製造・供給・販売を中核に、電力事業、海外事業、エネルギー関連事業、不動産事業などを展開します。2026年3月期の売上高(営業収益)は2兆8,347億円↑ 前期比+7.5%でした。レコードではセグメント別の数値は確認できなかったとして記載されておらず、事業ごとの内訳は追えませんが、会社概要では電力事業も拡大するとされています。登記上の商号は「東京瓦斯株式会社」で、本社は東京都港区海岸にあります。
大阪ガスは近畿圏の都市ガスを担うDaigasグループの中核で、国内エネルギー事業、海外エネルギー事業、ライフ&ビジネスソリューション事業の3セグメントで構成されます。公式決算資料では、2026年3月期の国内エネルギー事業の売上高は16,434億円と示され、連結売上高2兆303億円の約8割(約80.9%)を占めます。海外エネルギー事業では、米国フリーポート液化基地(LNG)や米国上流事業が2026年3月期第3四半期の経常利益の増加要因になったと決算資料に記されています。
成り立ちは、東京ガスが1885年10月1日に東京府瓦斯局の事業を引き継いで創立され、1893年に商法施行に伴い東京瓦斯株式会社へ社名変更しました。大阪ガスは1897年4月10日に大阪瓦斯株式会社として設立されています。ともに「瓦斯」の漢字表記を登記上の商号に残す、明治期創業の事業者です。大阪ガスは2022年に導管部門の法的分離に伴い大阪ガスネットワーク株式会社が事業を開始しており、導管部門の分離という制度対応が近年の歩みに記されています。
数字を比べると、2026年3月期は増益の出方が異なります。東京ガスは営業利益1,977億円↑ 前期比+48.5%、当期純利益2,269億円↑ 同+205.8%と大幅増益で、当期純利益が営業利益を上回りました。大阪ガスは売上高が↓ 前期比-1.9%と減収の一方、営業利益は1,748億円↑ 同+8.8%、経常利益2,045億円↑ 同+7.8%と増益でした。営業利益の差は約229億円と売上高の差(約1.4倍)ほど開かず、営業利益率は大阪ガス8.6%が東京ガス7.0%を上回ります。
違いのポイント
- 東京ガスの2026年3月期は売上高2兆8,347億円↑ 前期比+7.5%、当期純利益2,269億円↑ 同+205.8%と大幅増益
- 大阪ガスは売上高2兆303億円と減収の一方、営業利益1,748億円↑ 同+8.8%と増益、営業利益率8.6%は東京ガス7.0%を上回る
- 大阪ガスの国内エネルギー事業の売上高は16,434億円で、連結売上高の約80.9%を占める
- 自己資本比率は大阪ガス54.4%・東京ガス44.1%、自己資本額は大阪ガス1兆8,060億円が東京ガス1兆7,175億円を上回る
- 年間配当は大阪ガス120円(配当性向約30.7%)、東京ガス110円(同約16.8%)で、東京ガスは2027年3月期に120円を予想
財務と株主還元
2026年3月期の収益力は、規模で東京ガス、利益率で大阪ガスという対照です。売上高は東京ガス2兆8,347億円、大阪ガス2兆303億円、営業利益は東京ガス1,977億円、大阪ガス1,748億円と差は小さい一方、営業利益率は大阪ガス8.6%が東京ガス7.0%を上回ります。経常利益は大阪ガス2,045億円が東京ガス1,937億円を上回り、当期純利益は東京ガス2,269億円、大阪ガス1,528億円、ROEは東京ガス13.2%、大阪ガス8.7%でした。1株当たり当期純利益(EPS)は東京ガス654.76円、大阪ガス391.15円です。現金及び現金同等物の期末残高は東京ガスが1,870億円と開示されていますが、大阪ガスのレコードには同項目の掲載がありません。財務では、総資産は東京ガス3兆8,923億円、大阪ガス3兆3,214億円ですが、自己資本は大阪ガス1兆8,060億円が東京ガス1兆7,175億円を上回り、自己資本比率も大阪ガス54.4%が東京ガス44.1%より高くなっています。
株主還元では、大阪ガスの2026年3月期の年間配当は120円で配当性向は約30.7%(EPSからの算出値)、株主還元ではDOEを2026年3月期中間配当から3.5%へ引き上げる方針が示されました。東京ガスの年間配当は110円(中間50円+期末60円)で配当性向は約16.8%(算出値)、2027年3月期は120円への増配を予想しています。2026年10月30日時点のスナップショットでは、時価総額は大阪ガス約22,700億円、東京ガス約21,300億円と規模の順位が入れ替わり、PERは東京ガス9.95倍、大阪ガス15.06倍(いずれも算出値)でした。大阪ガスの中期経営計画では、2027年3月期にROIC5%・ROE8%、2031年3月期に経常利益2,000億円という目標が示されています(決算説明の転載で確認)。
人と組織
人の数字は大阪ガス側にのみ連結従業員数があります。大阪ガスの連結従業員数は21,835人(2026年3月期)です。東京ガスのレコードには従業員数・平均年収・平均年齢の掲載がなく、大阪ガスにも平均年収等の単体指標の掲載はありません。そのため年収や年齢構成での比較は本ページのデータではできず、人の項目で確認できるのは大阪ガスの連結従業員数のみです。組織の規模感は、売上高や総資産など連結全体の数字から読むことになります。
沿革から見る現在地
東京ガスは1885年10月1日、東京府瓦斯局の事業を引き継ぎ東京瓦斯会社として創立されました。1893年には商法施行に伴い東京瓦斯株式会社へ社名を変更しています。登記上の商号は漢字表記の「東京瓦斯株式会社」で、ブランド表記は「東京ガス」です。東京府の公営事業を引き継いだ出発点が、首都圏を基盤とする現在の供給体制につながっています。
大阪ガスは1897年4月10日に大阪瓦斯株式会社として設立され、本社は大阪府大阪市中央区平野町にあります。登記上の商号は「大阪瓦斯株式会社」で、ブランド表記は「大阪ガス」、Daigasグループの中核です。2022年には導管部門の法的分離に伴い大阪ガスネットワーク株式会社が事業を開始しました。創立は東京ガスが1885年、大阪ガスが1897年と12年の開きがあり、ともに明治期に生まれた都市ガス事業者です。
読むときの注意点
- 両社ともセグメント別の利益はレコードで確定できておらず、東京ガスはセグメント別の売上高も未確認です。大阪ガスの国内エネルギー事業の売上高16,434億円は公式決算資料に示された値ですが、セグメント利益の内訳は示されていません。また大阪ガスのセグメント利益は営業利益に持分法投資損益を加えた定義であり、他社の営業利益とそのままでは比べられない点に注意が必要です。
- 両社の業績予想(売上高・営業利益)はレコードに掲載がなく、東京ガスについて確認できる将来の数字は2027年3月期の年間配当予想120円、大阪ガスについては中期経営計画の目標にとどまります。市場データは2026年10月30日時点のスナップショットで、両社のPER・時価総額は概数や算出値とされています。配当利回りも、東京ガスは2027年3月期の予想配当120円、大阪ガスは2026年3月期の実績配当120円と、計算の前提が異なります。東京ガスの財務数値はTDnet転載PDFと公式英語版の相互一致で確認されたもの、大阪ガスの中期経営計画の目標は決算説明の転載で確認されたものと、確認経路にも違いがある点を前提に読んでください。
まとめ
まとめると、東京ガスは売上高2兆8,347億円・当期純利益2,269億円・ROE13.2%と規模と最終利益で大阪ガスを上回り、2026年3月期は純利益が↑ 前期比+205.8%と大きく伸びました。大阪ガスは売上高2兆303億円ながら営業利益率8.6%、自己資本比率54.4%、年間配当120円と、利益率・財務の厚み・配当額で対照を見せます。2026年3月期は営業利益が東京ガス+48.5%・大阪ガス+8.8%と、伸び率の大きさにも違いが出ました。首都圏と近畿圏、規模の東京ガスと効率と厚みの大阪ガスという対照が要点です。
数字の出典と確認日は各社の企業ページに記載しています(この比較の確認日: 2026/11/05)。