キヤノンとリコーの違い
一言でいうと: プリンティングとカメラのキヤノンと、複合機からサービスへ進むリコー
売上高はキヤノン4兆6,247億円(2025年12月期)がリコー2兆6,083億円(2026年3月期)の約1.8倍で、営業利益はキヤノン4,554億円とリコー907億円の約5.0倍、営業利益率は9.8%対3.5%です。配当性向はキヤノン42.9%、リコー約40.9%と還元水準は近づきます。キヤノンは12月決算、リコーは3月決算と対象期が異なる点に注意が必要です。
なぜこの2社を比べるのか: ともに複合機・プリンターを主力とする精密・OA機器メーカー同士の比較です。キヤノンはカメラやメディカルなどへ広がる4事業体制、リコーはワークプレイスサービスへの転換を進めており、事業の広がりと収益力の違いを比べます。
キヤノンの事業の仕組み
キヤノンの事業はプリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの4ビジネスユニットです。オフィス向け複合機やレーザー・インクジェットプリンター等を担うプリンティングが最大で、2025年12月期の売上高は2兆4,944億円(2兆4,944億円、セグメント間取引含む)と連結売上高4兆6,247億円の過半を占め、営業利益も2,558億円と最大です。レンズ交換式デジタルカメラや交換レンズ、ネットワークカメラ等のイメージングは売上高1兆549億円、半導体・FPD露光装置や有機ELディスプレイ製造装置等のインダストリアルは3,611億円でした。
利益率の面では主力以外が目立ちます。売上高に対する営業利益の割合を計算すると、インダストリアルが約17.3%、イメージングが約16.4%と、プリンティングの約10.3%を上回ります。CT、超音波診断装置、MRI、眼科機器等のメディカルは売上高5,806億円、営業利益328億円で、割合は約5.6%です。前期はのれんの減損損失を計上し営業損失1,404億円だったため、当期の黒字転換にはその反動も含まれます。連結子会社数は321社と開示されています。
リコーの事業の仕組み
リコーの事業は、オフィスプリンティング、オフィスサービス、商用印刷等を展開するデジタルサービス/デジタルプロダクツ等が中心で、複合機からワークプレイスサービスへ転換を進めるとレコードに記されています。2026年3月期の売上高は2兆6,083億円(2兆6,083億円)で、海外売上高が過半を占める構成です。2026年3月期の第1四半期短信で示された見通し区分では、国内売上高1兆290億円規模、海外1兆5,310億円規模とされています。
ただしリコーのレコードでは、2026年3月期のセグメント別売上高・利益は原文確認できなかったため数値を記載しないとされており、事業ごとの売上配分や利益率は本ページのデータからは読み取れません。確認できるのは連結全体の売上高2兆6,083億円、営業利益907億円、当期利益557億円と、前期(2025年3月期)の売上高2兆5,279億円、営業利益638億円、当期純利益457億円からの増収増益という推移です。事業別の厚みを比べる際は、この開示範囲の違いを前提にしてください。
| 項目 | キヤノン | リコー |
|---|---|---|
| 売上高 | 4兆6,247億円(2025年12月期) | 2兆6,083億円(2026年3月期) |
| 営業利益 | 4,554億円(2025年12月期) | 907億円(2026年3月期) |
| 営業利益率 | 9.8%(2025年12月期) | 3.5%(2026年3月期) |
| 当期利益 | 3,321億円(2025年12月期) | 557億円(2026年3月期) |
| 時価総額 | 6兆3,274億円(2026-10-30時点) | 1兆313億円(2026-10-30時点) |
| PER | 12.2倍(2026-10-30時点) | 16.6倍(2026-10-30時点) |
| ROE | 9.7%(2025年12月期) | —(未確認) |
| 自己資本比率 | 56.9%(2025年12月期) | —(未確認) |
| 有利子負債 | 8,161億円(2025年12月期) | —(未確認) |
| 現金及び現金同等物 | 5,860億円(2025年12月期) | —(未確認) |
| 売上高(予想) | 4兆7,650億円(2026年12月期 通期予想(決算短信)) | 2兆7,000億円(2027年3月期 通期予想(決算短信)) |
| 年間配当 | 160円(2025年12月期) | 40円(2026年3月期) |
| 配当利回り | 3.37%(2026-10-30時点) | 2.21%(2026-10-30時点) |
| 平均年収 | 882万円(2025年12月期(提出会社単体の平均年間給与)) | —(未確認) |
| 平均年齢 | 44.3歳(2025年12月期(提出会社単体)) | —(未確認) |
| 平均勤続年数 | 18.9年(2025年12月期(提出会社単体)) | —(未確認) |
| 従業員数(連結) | 165,547人(連結従業員数(2025年12月期)) | —(未確認) |
| 決算月 | 12月 | 3月 |
| 創業 | 1937年8月10日 | 1936年2月 |
| 本社 | 東京都大田区下丸子三丁目30番2号 | 東京都大田区中馬込一丁目3番6号 |
| 証券コード | 7751 | 7752 |
対象期は原則としてキヤノンが2025年12月期、リコーが2026年3月期の数値です。
売上高
営業利益
営業利益率
当期利益
時価総額
PER
ROE
自己資本比率
有利子負債
現金及び現金同等物
売上高(予想)
年間配当
配当利回り
平均年収
平均年齢
平均勤続年数
従業員数(連結)
決算月
創業
本社
証券コード
グラフで比べる
2社の違いを読み解く
キヤノンの2025年12月期は、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの4ビジネスユニット体制です。売上高(セグメント間取引含む)はプリンティングが2兆4,944億円で連結売上高4兆6,247億円の過半(約53.9%)を占め、イメージングが1兆549億円、メディカルが5,806億円、インダストリアルが3,611億円と続きます。営業利益はプリンティング2,558億円、イメージング1,729億円が牽引し、売上高に対する割合を計算するとイメージングが約16.4%、インダストリアルが約17.3%と、プリンティングの約10.3%を上回ります。
リコーの2026年3月期の売上高は2兆6,083億円、営業利益は907億円でした。事業はオフィスプリンティング、オフィスサービス、商用印刷等を展開し、複合機からワークプレイスサービスへの転換を進めるとレコードに記されています。売上高の内訳では海外が過半を占め、2026年3月期見通しの区分では国内1兆290億円規模・海外1兆5,310億円規模が示されています。なおリコーのレコードではセグメント別の売上高・利益の数値は原文確認ができなかったとして記載されておらず、事業別の利益配分はキヤノンほど細かくは追えません。
成り立ちは、キヤノンが1933年に高級小型カメラの研究を目的とする精機光学研究所として発足し、1937年に精機光学工業株式会社として創立、リコーは1936年2月に理研感光紙として設立されました。ともに1930年代に生まれた精密機器メーカーです。キヤノンはカメラの会社からプリンティングを最大事業に育て、CTやMRI等のメディカル、半導体・FPD露光装置等のインダストリアルまで広げました。キヤノンの連結財務諸表は米国会計基準で作成され、2027年第1四半期からIFRSへの移行が予定されています。
数字を比べると、キヤノンの2025年12月期は売上高4兆6,247億円↑ 前年同期比+2.5%と2期連続で過去最高を更新し、営業利益は4,554億円↑ 同+62.8%と大幅増益でした。リコーの2026年3月期は売上高2兆6,083億円、営業利益907億円で、前期(2025年3月期)の売上高2兆5,279億円、営業利益638億円から増収増益です。営業利益率はキヤノン9.8%、リコー3.5%と開きがあります。キヤノンのメディカルは前期にのれんの減損損失で営業損失1,404億円だった反動もあり、当期は営業利益328億円へ黒字転換しました。
違いのポイント
- キヤノンはプリンティングが売上高2兆4,944億円・営業利益2,558億円で最大、連結売上高の過半を占める(2025年12月期、セグメント間取引含む)
- キヤノンのイメージングは営業利益1,729億円で、売上高に対する割合は約16.4%とプリンティングの約10.3%を上回る
- リコーの2026年3月期は売上高2兆6,083億円、営業利益907億円、営業利益率3.5%で、前期から増収増益
- キヤノンのメディカルは前期の営業損失1,404億円から営業利益328億円へ黒字転換
- 配当性向はキヤノン42.9%、リコー約40.9%と接近し、年間配当はキヤノン160円、リコー40円
財務と株主還元
収益力には大きな差があります。キヤノンの2025年12月期は売上高4兆6,247億円、営業利益4,554億円、営業利益率9.8%、当社株主に帰属する当期純利益3,321億円、ROE9.7%でした。リコーの2026年3月期は売上高2兆6,083億円、営業利益907億円、営業利益率3.5%、当期利益557億円です。売上高はキヤノンが約1.8倍、営業利益は約5.0倍の規模です。財務面ではキヤノンの自己資本比率が56.9%、総資産6兆1,350億円、有利子負債8,161億円、現金及び現金同等物5,860億円と開示されていますが、リコーのレコードには総資産・自己資本比率・有利子負債の掲載がなく、この面の直接比較はできません。
株主還元では水準が近づきます。2025年12月期のキヤノンの年間配当は160円で配当性向42.9%、リコーの2026年3月期の年間配当は40円(前期38円から増配)で、配当性向はEPS97.80円から約40.9%と算出されます。2026年10月30日時点のスナップショットでは、時価総額はキヤノン63,274億円、リコー10,313億円、PERはキヤノン12.2倍、リコー16.6倍、配当利回りはキヤノン3.37%、リコー2.21%でした。会社予想は、キヤノンの2026年12月期が売上高4兆7,650億円・営業利益4,790億円、リコーの2027年3月期が売上高2兆7,000億円・営業利益950億円です。
人と組織
人の数字は片側のみの開示です。キヤノンの連結従業員数は165,547人(2025年12月期)で、提出会社単体の平均年間給与は882万円、平均年齢44.3歳、平均勤続年数18.9年、単体従業員数22,921人と有価証券報告書に記載されています。一方、リコーのレコードには平均年収・平均年齢・従業員数の指標が掲載されていません。転載データとして連結約78,665人という値に触れたFAQがありますが、有価証券報告書原文の直接確認が未完了のため指標としては採用されていない、とレコードに明記されています。人の項目はキヤノン側の数値のみで読んでください。
沿革から見る現在地
キヤノンは1933年11月、東京麻布六本木に高級小型カメラの研究を目的とする精機光学研究所として発足しました。1937年に東京目黒で精機光学工業株式会社として資本金100万円で創立してカメラの製造販売を開始し、1947年にキヤノンカメラ株式会社へ商号変更、1949年に東京証券取引所に上場しています。1951年に東京都大田区下丸子へ本社・工場を集結し、1955年にニューヨーク支店、1957年にスイスに欧州総代理店を開設するなど、早期から海外展開を進めた歩みが沿革に記されています。
リコーは1936年2月に理研感光紙として設立され、現在の本社は東京都大田区中馬込にあります。レコードに収められた沿革はこの設立の一項目のみで、キヤノンのような年代ごとの歩みは本ページのデータからは追えません。両社の接点として、設立はキヤノンの発足(1933年)とリコーの設立(1936年)が同じ1930年代にあり、いずれも東京都大田区に本社を置く精密機器メーカー同士という点が確認できます。
読むときの注意点
- 決算期が異なります。キヤノンは12月決算で本ページの数値は2025年12月期、リコーは3月決算で2026年3月期の数値であり、対象期間がずれているため、同じ時点の業績として単純には比べられません。また会計基準もキヤノンが米国会計基準(2027年第1四半期からIFRS移行予定)、リコーがIFRSと異なります。キヤノンのビジネスユニット別数値はセグメント間取引を含む値です。
- リコーのレコードは開示範囲が限られます。セグメント別数値、総資産・自己資本比率などの財務指標、年収・従業員数などの人指標はいずれも未掲載で、時価総額10,313億円も発行済株式数の推計に基づく算出値とされています。リコー側で確認できない項目は「不明」として扱い、キヤノンの数値だけで両社の優劣を判断しないよう留意が必要です。市場データはいずれも2026年10月30日時点のスナップショットです。
まとめ
まとめると、キヤノンは売上高4兆6,247億円・営業利益率9.8%と規模と収益力でリコー(売上高2兆6,083億円・同3.5%)を上回り、プリンティングを軸にイメージングやインダストリアルの高利益率事業を持つ4事業構成、リコーは海外売上高が過半を占め、複合機からワークプレイスサービスへの転換の途上にある構成という違いがあります。配当性向は両社とも40%台で並びます。ただし決算期と開示範囲が異なるため、数字の差はその前提つきで読む必要があります。
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数字の出典と確認日は各社の企業ページに記載しています(この比較の確認日: 2026/11/05)。