数字の要点
通期予想に対する進捗
中間期の売上高1兆6,896億円 ÷ 通期予想3兆4,220億円
中間期の営業利益1,654億円 ÷ 通期予想2,900億円
中間期の親会社株主に帰属する中間純利益1,022億円 ÷ 通期予想1,730億円
- 中間期の営業利益は1,654億円↑ 前年同期比54.0%増で、上方修正後の通期予想2,900億円に対する進捗率は57.0%です。ただし会社は下期の営業利益を1,246億円と上期を下回る前提としており、進捗率だけで通期を見通すことはできません。
- 通期予想の上方修正では、営業利益が従来予想の2,480億円から2,900億円へ420億円(16.9%)引き上げられました。同日開示の決算説明資料によれば、営業利益は3期連続の過去最高見込みで、中期経営計画2027の2027年度目標2,700億円を1年前倒しで超過する見通しです。
- セグメント別(決算説明資料、億円単位)では明暗が分かれました。マテリアルの営業利益は720億円↑ 前年同期比132.5%増、ヘルスケアは603億円(同50.5%増)と大きく伸びた一方、住宅は441億円(同5.3%減)と減益でした。会社は住宅について、国内は堅調だが北米事業の需要減・価格低下が響いたと説明しています。
- 配当は中間24円(直近の予想22円から増配)が決まり、期末予想も24円へ引き上げられ、年間予想は48円(前回予想44円、前期実績42円)となりました。会社は理由として、中期経営計画2027の「DOE3%を目安に中長期的な累進配当」の方針と2027年3月期の財務状況を勘案したとしています。予想連結配当性向は37.2%、説明資料ではDOE予想3.1%とされています。
旭化成の2027年3月期中間期(2026年4月1日〜9月30日)の連結業績は、売上高1兆6,896億円↑ 前年同期比13.7%増、営業利益1,654億円(同54.0%増)、経常利益1,614億円(同52.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益1,022億円(同54.2%増)でした。1株当たり中間純利益は75.94円です。7月に公表されていた上期予想(売上高1兆6,860億円、営業利益1,450億円、経常利益1,490億円、純利益890億円)を全項目で上回って着地しました。通期(2027年3月期)の業績予想は上方修正され、売上高3兆4,220億円↑ 前期比11.3%増、営業利益2,900億円(同25.4%増)、経常利益2,830億円(同22.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,730億円(同8.9%増)、1株当たり当期純利益予想129.12円となりました。従来予想は売上高3兆2,540億円、営業利益2,480億円、経常利益2,475億円、純利益1,600億円でした。中間期実績の上方修正後の通期予想に対する進捗率は、売上高49.4%、営業利益57.0%、中間純利益59.1%です(進捗率は当サイトの計算)。
セグメント別の動き
以下セグメント別の数値と要因説明は、短信本体ではなく、同日開示の決算説明資料(一次情報)によるもので、金額は同資料の表示に合わせて億円単位で示します。短信本体の主要指標(百万円単位)とは表示単位が異なります。ヘルスケアは売上高3,892億円↑ 前年同期比26.9%増、営業利益603億円(同50.5%増)でした。内訳は医薬・ライフサイエンスが売上高1,626億円(同27.4%増)、営業利益395億円(同38.2%増)、クリティカルケアが売上高2,266億円(同26.5%増)、営業利益211億円(同82.8%増)です。住宅は売上高5,628億円(同6.9%増)ながら営業利益441億円(同5.3%減)と減益でした。内訳は住宅が売上高5,423億円(同7.4%増)、営業利益417億円(同4.9%減)、建材が売上高205億円(同3.8%減)、営業利益24億円(同11.7%減)です。
マテリアルは売上高7,245億円↑ 前年同期比13.6%増、営業利益720億円(同132.5%増)と大きく伸びました。内訳はエレクトロニクスが売上高935億円(同18.7%増)、営業利益229億円(同81.2%増)、自動車内装材が売上高868億円(同9.7%増)、営業利益60億円(同43.9%増)、エネルギー&インフラが売上高465億円(同26.3%減)、営業損失21億円、コンフォートライフが売上高1,399億円(同12.1%増)、営業利益98億円(同18.7%増)、機能化学品が売上高1,196億円(同6.4%増)、営業利益161億円(同486.2%増)、基盤化学品が売上高2,341億円(同33.0%増)、営業利益243億円(同822.8%増)で、マテリアル内その他は売上高41億円、営業損失50億円でした。その他・全社費用等は売上高131億円、営業損失110億円です。説明資料の付表では通期予想として、ヘルスケアの売上高7,920億円(5月予想7,490億円)、住宅の売上高11,820億円(同11,730億円)、マテリアルの営業利益1,150億円(同810億円、42.0%増)が示されています。
配当・株主還元
配当は同日に別途開示された修正の対象になりました。中間配当は1株当たり24.00円(直近の予想22円から増配、前年同期実績20円)に決まり、配当金総額は321億円、基準日は2026年9月30日、支払開始予定日(効力発生日)は2026年12月1日です。期末配当予想も22円から24.00円へ引き上げられ、年間配当予想は48.00円(前回予想44円、前期実績42円=中間20円+期末22円)となりました。会社は増配の理由として、中期経営計画2027の「DOE3%を目安に中長期的な累進配当」の方針と2027年3月期の財務状況を勘案したことを挙げています。なお、新規の自社株買い発表はありませんでした。一方で短信の注記・説明資料には、2025年11月5日取締役会決議に基づく自己株式取得(22,859,400株、400億円)が完了し、取得した自己株式の消却を行う旨の記載があります。
会社自身の説明
決算説明資料で会社は、上期の大幅増益を重点成長事業(医薬、クリティカルケア、エレクトロニクス)が牽引したとし、マテリアルでの在庫評価のプラス影響といった一過性要因を除いても実質増益だったと説明しています。ヘルスケアは各事業の主力製品の出荷増と円安のプラス効果が販管費の増加を上回りました。住宅は国内の注文住宅・賃貸管理・不動産仲介が堅調だった一方、北米事業の需要減・価格低下で減益になりました。マテリアルはエレクトロニクスの主力製品の出荷増、適時の販売価格引き上げ、円安、基盤化学品等での在庫評価のプラス影響が寄与し、中東情勢に伴う原料コスト上昇は価格転嫁で吸収したとしています。営業外収支は支払利息の増加で悪化し、特別損益は前年のMMA事業撤退等に伴う事業構造改善費用(前年362億円から当期28億円へ)の剥落で改善、法人税等は増益と前年の構造転換に係る税効果の剥落で増加したと説明しています。
通期予想の上方修正について会社は、重点成長3事業の上振れを主因としています。5月予想比の上振れ額は医薬・ライフサイエンスが78億円、クリティカルケアが28億円、エレクトロニクスが123億円で、エレクトロニクスはAI関連需要(パイメル、ガラス布)が特に大きく上振れたとしています。一方、Tarpeyoの販売拡大は想定より緩やかだったとも述べています。下期については、医薬の季節要因・研究開発費の増加や石化市況下落による在庫評価のマイナス影響等を見込み、通期営業利益予想のうち下期分は1,246億円と上期(1,654億円)を下回る前提です。また当中間期には、ヘルスケアでAicuris Anti-infective Cures AG及び子会社5社(計6社)を新規に連結しました。自己資本比率は47.3%で、2026年3月末の50.5%から低下しました。説明資料はその主因をAicuris買収資金に伴う有利子負債の増加としています。
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出典
旭化成 2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年11月5日) 一次資料(2026/11/05確認)。数値はこの資料の記載値です。