野村ホールディングスと大和証券グループ本社の違い

一言でいうと: 野村證券を中核とする野村と、大和証券を中核とする大和の証券大手対比

2026年3月期の収益規模は、野村ホールディングスの収益合計(金融費用控除後)​2兆1,677億円が、大和証券グループ本社の営業収益​1兆4,680億円を上回ります。当期純利益も野村ホールディングス​3,621億円が大和証券グループ本社​1,753億円の約​2倍です。ただし会計基準と利益指標が異なるため、営業利益同士の単純比較はできない点に注意してください。

同業種比較

なぜこの2社を比べるのか: 国内証券大手の2グループです。ともに個人向けの資産コンサルティング、資産運用、機関投資家・法人向け事業を持ちながら、部門構成と利益の出どころに違いがあります。2026年3月期の部門別数字で比べます。

野村ホールディングスの事業の仕組み

野村ホールディングスの事業は4部門です。ウェルス・マネジメント部門は国内の個人・法人顧客向けの資産コンサルティング等で、2026年3月期の収益合計(金融費用控除後)は​4,879億円、税引前当期純利益は​2,040億円でした。ホールセール部門はグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングからなり、収益​1兆1,622億円・税引前利益​2,006億円と、収益では最大の部門です。

インベストメント・マネジメント部門は投資信託や投資顧問等の資産運用サービスで、収益​2,585億円・税引前利益​883億円、運用資産残高は​136.9兆円です。2025年12月にはマッコーリー・グループの米州・欧州等の資産運用会社の取得を完了し、連結子会社化しました。バンキング部門は2025年4月1日付で新設された部門で、野村信託銀行等が担い、収益​539億円・税引前利益​140億円でした。

大和証券グループ本社の事業の仕組み

大和証券グループ本社の事業は3部門です。ウェルスマネジメント部門は個人や未上場法人に金融商品・サービスを提供し、2026年3月期の純営業収益は​2,958億円、経常利益は​1,120億円と最大でした。グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門は機関投資家・法人向けのセールス&トレーディングと引受け・M&Aアドバイザリーで、純営業収益​2,574億円・経常利益​590億円です。

アセットマネジメント部門は投資信託の設定・運用、機関投資家への投資助言・運用、不動産投資法人・ファンドの運用、プライベート・エクイティ等への投資を行います。2026年3月期の純営業収益は​1,119億円、経常利益は​654億円でした。純営業収益の規模は3部門で最小ながら、経常利益ではグローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門を上回っています。

項目野村ホールディングス大和証券グループ本社
売上高2兆1,677億円(2026年3月期)1兆4,680億円(2026年3月期)
営業利益—(未確認)2,073億円(2026年3月期)
営業利益率—(未確認)14.1%(2026年3月期)
当期利益3,621億円(2026年3月期)1,753億円(2026年3月期)
時価総額4兆6,204億円(2026-10-30時点)2兆6,655億円(2026-10-30時点)
ROE10.1%(2026年3月期)10.3%(2026年3月期)
自己資本比率5.9%(2026年3月期)4.6%(2026年3月期)
現金及び現金同等物4兆2,987億円(2026年3月期)3兆7,726億円(2026年3月期)
年間配当51円(2026年3月期)64円(2026年3月期)
配当利回り—(未確認)2.59%(2026-10-30時点)
平均年収1,420.9万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与))1,793.4万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与))
平均年齢45.1歳(2026年3月期(提出会社単体))41.6歳(2026年3月期(提出会社単体))
平均勤続年数4.3年(2026年3月期(提出会社単体))15.2年(2026年3月期(提出会社単体))
従業員数(連結)28,677人(連結従業員数(2026年3月期))14,984人(連結従業員数(2026年3月期))
決算月3月3月
創業1925年12月25日1943年12月27日
本社東京都中央区日本橋一丁目13番1号東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウ ノースタワー
証券コード86048601

対象期は原則として両社とも2026年3月期の数値です。

売上高

営業利益

営業利益率

当期利益

時価総額

野村ホールディングス4兆6,204億円2026-10-30時点
大和証券グループ本社2兆6,655億円2026-10-30時点

ROE

自己資本比率

現金及び現金同等物

年間配当

配当利回り

平均年収

平均年齢

平均勤続年数

従業員数(連結)

決算月

創業

本社

野村ホールディングス東京都中央区日本橋一丁目13番1号
大和証券グループ本社東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウ ノースタワー

証券コード

グラフで比べる

売上高
野村ホールディングス2兆1,677億円
大和証券グループ本社1兆4,680億円
当期利益
野村ホールディングス3,621億円
大和証券グループ本社1,753億円
時価総額
野村ホールディングス4兆6,204億円
大和証券グループ本社2兆6,655億円
平均年収
野村ホールディングス1,420.9万円
大和証券グループ本社1,793.4万円
従業員数(連結)
野村ホールディングス28,677人
大和証券グループ本社14,984人

2社の違いを読み解く

野村ホールディングスの事業はウェルス・マネジメント、インベストメント・マネジメント、ホールセール、バンキングの4部門です。2026年3月期の収益合計(金融費用控除後)はホールセール部門が​1兆1,622億円と全体​2兆1,677億円の半分を超えますが、税引前当期純利益ではウェルス・マネジメント部門​2,040億円とホールセール部門​2,006億円がほぼ並びます。収益の大きさと利益の大きさの順序が、部門によって異なる構成です。

大和証券グループ本社の報告セグメントはウェルスマネジメント、アセットマネジメント、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキングの3部門です。2026年3月期の経常利益はウェルスマネジメント部門​1,120億円が最大で、アセットマネジメント部門​654億円、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門​590億円と続きます。個人や未上場法人向けの部門が利益の中心という点は、野村ホールディングスとも共通します。

成り立ちでは、野村ホールディングスは1925年に大阪野村銀行の証券部を分離して設立され、2025年に創立100周年を迎えました。大和証券グループ本社は1902年に藤本ビルブローカーとして開業し、1943年に大和證券が設立され、1999年に国内上場会社初の持株会社体制へ移行しました。持株会社化は大和証券グループ本社が1999年、野村ホールディングスが2001年です。

数字を掘り下げると、資産運用の位置づけにも差があります。野村ホールディングスのインベストメント・マネジメント部門は2026年3月期に収益​2,585億円・税引前利益​883億円で、2026年3月末の運用資産残高は​136.9兆円に達しました。大和証券グループ本社のアセットマネジメント部門は純営業収益​1,119億円・経常利益​654億円と、純営業収益に対する利益の割合が高い部門です。両社とも売買仲介だけに頼らない収益源を持ちますが、その規模の見え方は異なります。

違いのポイント

  • 野村はホールセール部門の収益​1兆1,622億円が最大だが、税引前利益はウェルス・マネジメント​2,040億円とほぼ並ぶ(2026年3月期)
  • 大和はウェルスマネジメント部門の経常利益​1,120億円が3部門で最大(2026年3月期)
  • 当期純利益は野村​3,621億円、大和​1,753億円(2026年3月期)
  • 野村のインベストメント・マネジメント部門の運用資産残高は​136.9兆円(2026年3月末)
  • 両社とも2027年3月期の業績予想は非開示で、大和は配当の下限​44円のみを示す

財務と株主還元

2026年3月期の連結業績は、野村ホールディングスが収益合計(金融費用控除後)​2兆1,677億円​↑ 前期比14.5%増、税引前当期純利益​5,398億円、当期純利益​3,621億円、ROE​10.1%でした。大和証券グループ本社は営業収益​1兆4,680億円​↑ 前期比7.0%増、純営業収益​7,204億円、営業利益​2,073億円、経常利益​2,345億円、当期純利益​1,753億円、ROE​10.3%でした。ROEはほぼ並びますが、利益の絶対額は野村ホールディングスが約​2倍です。

総資産は野村ホールディングス​62兆6,459億円、大和証券グループ本社​38兆776億円と差がありますが、株主資本比率・自己資本比率は野村ホールディングス​5.9%、大和証券グループ本社​4.6%と、証券会社らしい低い水準同士です。年間配当は野村ホールディングス​51円(配当性向41.4%)、大和証券グループ本社​64円(同50.8%)でした。2026年10月30日時点のスナップショットでは、時価総額は野村ホールディングス​4兆6,204億円、大和証券グループ本社​2兆6,655億円です。

人と組織

連結従業員数は野村ホールディングス​28,677人、大和証券グループ本社​14,984人(2026年3月期)と約​2倍の差があります。提出会社単体の平均年間給与は大和証券グループ本社が約​1,793万円(平均年齢41.6歳、平均勤続15.2年)と、野村ホールディングスの約​1,421万円(平均年齢45.1歳、平均勤続4.3年)を上回ります。ただし野村ホールディングスの単体は従業員​204人の持株会社で、中核の野村證券は従業員​11,076人・平均年間給与約​1,325万円と別に開示されています。大和証券グループ本社でも、最大人員会社の大和証券は平均年間給与約​1,431万円と併記されており、単体の数字だけで比べないことが重要です。

沿革から見る現在地

野村ホールディングスは1925年12月25日に大阪野村銀行の証券部を分離して設立され、1961年に東京証券取引所へ上場しました。2001年に持株会社体制へ移行し、同年ニューヨーク証券取引所へADSを上場しています。2008年には経営破綻したリーマン・ブラザーズのアジア・太平洋部門および欧州・中東部門の事業・人員の承継で合意し、2025年に創立100周年を迎えました。

大和証券グループ本社は1902年に藤本ビルブローカーとして開業し、1943年に藤本証券と日本信託銀行の合併で大和證券株式会社が設立されました。1999年にリテール部門とホールセール部門の分社を機に持株会社体制へ移行し、2007年に本社をグラントウキョウ ノースタワーへ移転しています。2024年4月からは中期経営計画で「お客様の資産価値最大化」を掲げています。

読むときの注意点

  • 会計基準と利益指標が異なります。野村ホールディングスは米国基準で、営業利益・経常利益を表示せず、中心指標は税引前当期純利益です。大和証券グループ本社は日本基準で営業利益・経常利益を表示します。また野村ホールディングスの「収益合計(金融費用控除後)」と大和証券グループ本社の「営業収益」「純営業収益」は定義が異なるため、規模の比較は目安として読んでください。
  • 両社とも業績予想は非開示です。野村ホールディングスは相場環境の不確実性を理由とし、大和証券グループ本社も経済情勢や相場環境に大きく影響を受けることを理由としています。2026年3月期の好調な数字が翌期も続く前提では読めません。

まとめ

この比較の要点は、同じ証券大手でも部門の組み立てが違うことです。野村ホールディングスはホールセールの収益が大きく、ウェルス・マネジメントと利益で並ぶ4部門体制で、資産運用の運用資産残高​136.9兆円も持ちます。大和証券グループ本社は3部門で、ウェルスマネジメントが利益の中心です。ROEが​10.1%と​10.3%で並ぶ一方、当期純利益の絶対額には約​2倍の差があります。指標の定義の違いを踏まえて読むことが大切です。

数字の出典と確認日は各社の企業ページに記載しています(この比較の確認日: 2026/11/05)。