日本電気と富士通の違い
一言でいうと: 生体認証のNECと、国内ITサービス1位の富士通
売上収益はNECが3兆5,827億円、富士通が3兆5,030億円(いずれも2026年3月期)とほぼ並び、営業利益もNEC3,599億円・富士通3,483億円と接近します。一方で当期利益は富士通が4,494億円とNECの2,702億円を上回り、自己資本比率も富士通59.6%対NEC49.2%です。平均年収は富士通1,012万円、NEC994万円です。
なぜこの2社を比べるのか: ともに通信機器を出発点とし、現在はITサービスを中核とする国内大手ICT企業同士です。NECは1899年、富士通は1935年の設立で、売上規模がほぼ並ぶ2社の事業構成と収益構造の違いを比べます。
日本電気の事業の仕組み
NECの事業はITサービス事業と社会インフラ事業の2セグメント体制です。ITサービス事業は官公庁・金融・企業向けのシステムインテグレーション、ITサービス、デジタルソリューションを担い、2026年3月期の外部売上収益は2兆5,089億円(2兆5,089億円)で、連結売上収益3兆5,827億円の約70.0%を占めます。通信インフラ、海洋システム、防衛・宇宙関連システム等を担う社会インフラ事業は9,353億円(9,353億円)で約26.1%、報告セグメントに含まれないその他は1,385億円でした。
利益ではITサービス事業のセグメント利益(調整後営業利益)が3,367億円(3,367億円)と全体の増益を牽引し、外部売上収益に対する割合は約13.4%です。社会インフラ事業は743億円で割合は約7.9%、その他は41億円の損失でした。連結の調整後営業利益は3,868億円と開示されています。顔認証・指紋認証などの生体認証技術に強みを持つことが特徴として記されており、地域別売上収益では日本が2兆8,686億円と約8割、海外計は7,142億円(約2割)です。
富士通の事業の仕組み
富士通の事業はサービスソリューション、ハードウェアソリューション、ユビキタスソリューションの3セグメントです。コンサルティング、システムインテグレーション、アウトソーシング、クラウドサービス等のITサービスを担うサービスソリューションが中核で、2026年3月期の外部売上収益は2兆3,148億円(2兆3,148億円)と、継続事業の売上収益3兆5,030億円の約66.1%を占めます。サーバ・ストレージやネットワーク製品のハードウェアソリューションは9,333億円で約26.6%、パソコン等のユビキタスソリューションは2,295億円でした。公式サイトでは国内ITサービス売上高1兆5,218億円で国内1位とされています。
調整後営業利益はサービスソリューションが3,615億円(3,615億円)とセグメント利益の大半を占め、外部売上収益に対する割合は約15.6%です。ハードウェアソリューションは670億円で約7.2%、ユビキタスソリューションは388億円で、売上規模は小さいものの割合は約16.9%と3区分の中で最も高くなっています。連結の調整後営業利益は3,906億円でした。売上の約3分の2をサービスが占め、その利益が全体を支える、サービス中心の収益構造への転換が進んでいる点がレコードに記されています。
| 項目 | 日本電気 | 富士通 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3兆5,827億円(2026年3月期) | 3兆5,030億円(2026年3月期) |
| 営業利益 | 3,599億円(2026年3月期) | 3,483億円(2026年3月期) |
| 営業利益率 | 10%(2026年3月期) | 9.9%(2026年3月期) |
| 当期利益 | 2,702億円(2026年3月期) | 4,494億円(2026年3月期) |
| 時価総額 | 6兆6,166億円(2026-10-30時点) | 6兆3,015億円(2026-10-30時点) |
| PER | —(未確認) | 20.2倍(2026-10-30時点) |
| ROE | 13%(2026年3月期) | 23.9%(2026年3月期) |
| 自己資本比率 | 49.2%(2026年3月期) | 59.6%(2026年3月期) |
| 有利子負債 | 4,892億円(2026年3月期) | 1,331億円(2026年3月期) |
| 現金及び現金同等物 | 6,590億円(2026年3月期) | 4,504億円(2026年3月期) |
| 売上高(予想) | 3兆5,000億円(2027年3月期 通期予想(決算短信)) | 3兆5,100億円(2027年3月期 通期予想(決算短信)) |
| 年間配当 | 38円(2026年3月期) | 50円(2026年3月期) |
| 配当利回り | 0.82%(2026-10-30時点) | 1.52%(2026-10-30時点) |
| 平均年収 | 994万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与)) | 1,012万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与)) |
| 平均年齢 | 43.1歳(2026年3月期(提出会社単体)) | 42.7歳(2026年3月期(提出会社単体)) |
| 平均勤続年数 | 17.3年(2026年3月期(提出会社単体)) | 17.6年(2026年3月期(提出会社単体)) |
| 従業員数(連結) | 101,800人(連結従業員数(2026年3月期)) | 99,203人(連結従業員数(2026年3月期)) |
| 決算月 | 3月 | 3月 |
| 創業 | 1899年7月17日 | 1935年6月20日 |
| 本社 | 東京都港区芝五丁目7番1号 | 神奈川県川崎市中原区上小田中四丁目1番1号 |
| 証券コード | 6701 | 6702 |
対象期は原則として両社とも2026年3月期の数値です。
売上高
営業利益
営業利益率
当期利益
時価総額
PER
ROE
自己資本比率
有利子負債
現金及び現金同等物
売上高(予想)
年間配当
配当利回り
平均年収
平均年齢
平均勤続年数
従業員数(連結)
決算月
創業
本社
証券コード
グラフで比べる
2社の違いを読み解く
NECの2026年3月期は、ITサービス事業と社会インフラ事業の2セグメント体制です。外部売上収益はITサービスが2兆5,089億円で連結売上収益3兆5,827億円の約70.0%を占め、社会インフラが9,353億円で約26.1%、その他が1,385億円です。セグメント利益(調整後営業利益)はITサービスが3,367億円と全体を牽引し、社会インフラは743億円、その他は41億円の損失でした。外部売上収益に対する割合を計算するとITサービスが約13.4%、社会インフラが約7.9%で、官公庁・金融・企業向けのシステム構築やITサービスが売上の7割と利益の大半を担う構成です。
富士通はサービスソリューション、ハードウェアソリューション、ユビキタスソリューションの3セグメントです。2026年3月期の外部売上収益はサービスソリューションが2兆3,148億円で継続事業の売上収益3兆5,030億円の約66.1%、ハードウェアが9,333億円で約26.6%、パソコン等のユビキタスが2,295億円です。調整後営業利益はサービスソリューションが3,615億円と大半を占め、割合は約15.6%です。ハードウェアは約7.2%にとどまる一方、ユビキタスは約16.9%と小規模ながら割合が高く、公式サイトでは国内ITサービス売上高1兆5,218億円で国内1位とされています。
成り立ちは、NECが1899年に米国ウェスタン・エレクトリック社との合弁による日本初の外資系企業として設立され、富士通は1935年に富士電機製造の電話部(交換・伝送)を分離して富士通信機製造として設立されました。ともに通信機器から出発しながら、現在の主力は両社ともITサービスです。地域別ではNECの2026年3月期の売上収益は日本が2兆8,686億円と約8割を占め、海外計は7,142億円です。顔認証・指紋認証などの生体認証技術に強みを持つ点が、NECの特徴としてレコードに記されています。
数字を掘り下げると、規模がほぼ並ぶ一方で最終利益と財務に差が出ます。2026年3月期の営業利益はNEC3,599億円(営業利益率10.0%)、富士通3,483億円(同9.9%)と接近しますが、親会社株主に帰属する当期利益は富士通が4,494億円とNECの2,702億円を大きく上回ります。ただし富士通の当期利益には非継続事業(デバイスソリューション)の利益1,463億円が含まれ、ROE23.9%もその影響を受けた数値です。有利子負債はNEC4,892億円に対し富士通1,331億円と少なく、自己資本比率は富士通59.6%、NEC49.2%でした。
違いのポイント
- NECはITサービスが外部売上収益2兆5,089億円で連結の約70.0%、調整後営業利益3,367億円が収益の中核
- 富士通はサービスソリューションが外部売上収益2兆3,148億円で約66.1%、調整後営業利益3,615億円と大半を占める
- 2026年3月期の営業利益はNEC3,599億円・富士通3,483億円と接近、当期利益は富士通4,494億円がNEC2,702億円を上回る
- 富士通の当期利益には非継続事業の利益1,463億円が含まれ、ROEは23.9%(NECは13.0%)
- 自己資本比率は富士通59.6%・NEC49.2%、有利子負債は富士通1,331億円とNEC4,892億円より少ない
財務と株主還元
収益力は接近し、最終利益と財務の厚みで差が出ます。2026年3月期の売上収益はNECが3兆5,827億円↑ 前年同期比+4.7%、富士通が継続事業で3兆5,030億円↓ 同-1.3%とほぼ並び、営業利益はNEC3,599億円、富士通3,483億円、営業利益率はNEC10.0%、富士通9.9%です。一方、親会社株主に帰属する当期利益は富士通が4,494億円とNECの2,702億円を上回り、ROEは富士通23.9%、NEC13.0%でした。総資産はNEC4兆4,668億円、富士通3兆3,997億円で、自己資本比率は富士通59.6%がNEC49.2%を上回ります。有利子負債はNEC4,892億円、富士通1,331億円、現金及び現金同等物はNEC6,590億円、富士通4,504億円でした。
株主還元では、2026年3月期の年間配当はNECが38円(2025年4月の株式分割後)、富士通が50円で、配当性向はNEC18.7%、富士通19.6%とほぼ並びます。2026年10月30日時点のスナップショットでは、時価総額はNEC66,166億円、富士通63,015億円、PERは富士通が20.2倍(NECはレコードに値がありません)、配当利回りはNEC0.82%、富士通1.52%でした。2027年3月期の会社予想は、NECがNon-GAAPベースで売上収益3兆5,000億円・営業利益4,200億円、富士通が売上収益3兆5,100億円・営業利益4,150億円と、両社とも営業増益の予想を示しています。
人と組織
人と組織では、連結従業員数はNECが101,800人、富士通が99,203人(いずれも2026年3月期)でほぼ並びます。提出会社単体の平均年間給与は富士通が1,012万円とNECの994万円を18万円上回り、平均年齢はNEC43.1歳、富士通42.7歳、平均勤続年数はNEC17.3年、富士通17.6年です。単体従業員数はNEC21,934人、富士通32,224人と開示されています。なお富士通の連結従業員数は、子会社の連結除外や海外の構造改革などにより前事業年度末から13,540人減少したとレコードに記されています。
沿革から見る現在地
NECは1899年7月17日、条約改正の発効日に米国ウェスタン・エレクトリック社との合弁で、日本初の外資系企業として設立されました。1958年に国産初のトランジスタ式電子計算機を完成させ、1970年には日本初の人工衛星「おおすみ」、1977年にC&C(コンピュータとコミュニケーションの融合)の提唱、1982年にパーソナルコンピュータ「PC-9801」の発売と、コンピュータと通信の両分野に歩みを広げてきた経緯が公式の歴史資料に記されています。
富士通は1935年6月20日、富士電機製造株式会社の電話部所管業務(交換・伝送)を分離し、富士通信機製造株式会社として設立されました。設立時の資本金は300万円、従業員は700名でした。1940年に日本初の国産自動交換機「T形交換機」を逓信省に納入し、1949年に東京証券取引所の再開と同時に株式を上場、2025年に創立90周年を迎えています。電話交換機のメーカーからITサービス企業へ転換した歩みが、現在のサービス中心の構成と重なります。
読むときの注意点
- 富士通の2026年3月期の売上収益3兆5,030億円は継続事業の数値で、親会社株主に帰属する当期利益4,494億円には非継続事業に分類されたデバイスソリューションの利益1,463億円が含まれます。当期利益やROE(23.9%)をNECと比べる際は、この内訳を前提に読む必要があります。またNECの2027年3月期予想はNon-GAAPベースのみの開示で、IFRSベースの予想は開示されていません。
- セグメント利益は両社とも調整後営業利益で示されますが、区分の切り方が異なります(NECは2セグメント+その他、富士通は3セグメント)。外部売上収益の合計は連結売上収益に一致せず調整等が含まれるため、構成比は連結売上収益(富士通は継続事業)に対する計算値として読んでください。市場データは2026年10月30日時点のスナップショットです。
まとめ
まとめると、NECと富士通は2026年3月期の売上収益が3.58兆円と3.50兆円、営業利益率が10.0%と9.9%でほぼ並び、ともにITサービスが売上の約7割・約66%と利益の大半を担う構成です。違いが出るのは最終利益と財務で、当期利益は非継続事業の利益を含む富士通が4,494億円と大きく、自己資本比率も富士通59.6%がNEC49.2%を上回ります。生体認証など独自技術を持つNECと、国内ITサービス売上高1位の富士通という対照が要点です。
数字の出典と確認日は各社の企業ページに記載しています(この比較の確認日: 2026/11/05)。