大和ハウス工業と積水ハウスの違い
一言でいうと: 4事業が売上1兆円超の大和ハウス工業と、国際事業が最大の積水ハウス
大和ハウス工業は2026年3月期に売上高5兆5,769億円、営業利益率11.0%で、積水ハウスは2026年1月期に売上高4兆1,979億円、営業利益率8.1%でした。積水ハウスは国際事業が売上高1兆2,864億円と事業別最大です。提出会社単体の平均年間給与は大和ハウス1,101万円、積水ハウス907万円です。決算期は大和ハウスが3月期、積水ハウスが1月期と異なります。
なぜこの2社を比べるのか: 住宅大手同士の比較です。戸建住宅から出発した両社ですが、大和ハウス工業は戸建・賃貸・商業・事業施設の4事業がそれぞれ売上高1兆円を超える構成、積水ハウスは国際事業と賃貸管理などのストック型が厚い構成と、広がり方が異なります。
大和ハウス工業の事業の仕組み
大和ハウス工業の事業は戸建住宅、賃貸住宅、商業施設、事業施設、マンション、環境エネルギーの6つです。2026年3月期の売上高は賃貸住宅事業1兆4,293億円、戸建住宅事業1兆3,423億円、商業施設事業1兆2,902億円、事業施設事業1兆1,898億円と4事業が1兆円を超え(セグメント間取引含む)、特定の用途に偏らない構成です。賃貸住宅事業は企画・設計・施工に賃貸管理まで含みます。
営業利益は商業施設事業1,625億円が最大で、戸建住宅事業1,557億円、賃貸住宅事業1,411億円、事業施設事業1,276億円と続きます。事業施設事業は物流施設、医療・介護施設、データセンター等の法人施設を手がけます。一方でマンション事業は売上高2,796億円・営業利益60億円、環境エネルギー事業は売上高1,331億円・営業利益138億円と小さく、4つの主力事業との規模差が大きくなっています。連結子会社は507社です。
2026年3月期は、第7次中期経営計画で最終年度として計画していた2027年3月期の売上高・営業利益目標を1年前倒しで達成した期です。2027年3月期の業績予想は売上高5兆8,000億円、営業利益4,000億円、当期純利益2,270億円が示されています。主な連結子会社には大和リース、大和物流、2026年に連結子会社化した住友電設があります。なお2026年10月1日付で1株を2株に分割しています。
積水ハウスの事業の仕組み
積水ハウスの開示は事業別の6区分で、2026年1月期の売上高は国際事業1兆2,864億円、賃貸住宅管理事業7,126億円、賃貸・事業用建物事業5,648億円、戸建住宅事業4,790億円、仲介・不動産事業3,945億円、都市再開発事業1,646億円でした。国際事業は米国を中心とした海外の住宅・開発事業で、売上では最大の事業です。
営業利益では順位が変わります。賃貸・事業用建物事業878億円が最大で、賃貸住宅管理事業690億円、戸建住宅事業480億円、都市再開発事業460億円、国際事業391億円、仲介・不動産事業309億円の順です。売上最大の国際事業の利益は5番目で、売上高1,646億円の都市再開発事業の営業利益460億円を下回ります。会社は請負型・ストック型・開発型・国際の4つのビジネスモデルを掲げ、賃貸住宅管理などのストック型が利益を支える形です。連結子会社は301社です。
2026年1月期は第6次中期経営計画(2023年度〜2025年度)の最終年度で、3ヵ年の業績は策定時の計画を上回って着地しました。2027年1月期の業績予想は売上高4兆3,530億円、営業利益3,500億円、当期純利益2,180億円です。主な連結子会社には鴻池組、積水ハウス不動産東京、米国のSekisui House U.S., Inc.があり、2026年に始動した米国統括会社が国際事業の体制面の変化として記されています。
| 項目 | 大和ハウス工業 | 積水ハウス |
|---|---|---|
| 売上高 | 5兆5,769億円(2026年3月期) | 4兆1,979億円(2026年1月期) |
| 営業利益 | 6,149億円(2026年3月期) | 3,414億円(2026年1月期) |
| 営業利益率 | 11%(2026年3月期) | 8.1%(2026年1月期) |
| 当期利益 | 3,506億円(2026年3月期) | 2,321億円(2026年1月期) |
| 時価総額 | 3兆121億円(2026-10-30時点) | 2兆2,688億円(2026-10-30時点) |
| PER | 8.05倍(2026-10-30時点) | 9.72倍(2026-10-30時点) |
| ROE | 12.7%(2026年3月期) | 11.3%(2026年1月期) |
| 自己資本比率 | 34.4%(2026年3月期) | 42.7%(2026年1月期) |
| 有利子負債 | 2兆8,977億円(2026年3月期) | 1兆8,489億円(2026年1月期) |
| 現金及び現金同等物 | 4,246億円(2026年3月期) | 4,349億円(2026年1月期) |
| 売上高(予想) | 5兆8,000億円(2027年3月期 通期予想(決算短信)) | 4兆3,530億円(2027年1月期 通期予想(決算短信)) |
| 年間配当 | 175円(2026年3月期) | 144円(2026年1月期) |
| 配当利回り | 3.89%(2026-10-30時点) | 4.16%(2026-10-30時点) |
| 平均年収 | 1,101万円(2026年3月期(提出会社単体の平均年間給与)) | 907万円(2026年1月期(提出会社単体の平均年間給与)) |
| 平均年齢 | 40.7歳(2026年3月期(提出会社単体)) | 43.5歳(2026年1月期(提出会社単体)) |
| 平均勤続年数 | 15.7年(2026年3月期(提出会社単体)) | 16.2年(2026年1月期(提出会社単体)) |
| 従業員数(連結) | 55,712人(連結従業員数(2026年3月期)) | 32,186人(連結従業員数(2026年1月期)) |
| 決算月 | 3月 | 1月 |
| 創業 | 1955年4月5日 | 1960年8月1日 |
| 本社 | 大阪市北区梅田三丁目3番5号 | 大阪市北区大淀中一丁目1番88号 |
| 証券コード | 1925 | 1928 |
対象期は原則として大和ハウス工業が2026年3月期、積水ハウスが2026年1月期の数値です。
売上高
営業利益
営業利益率
当期利益
時価総額
PER
ROE
自己資本比率
有利子負債
現金及び現金同等物
売上高(予想)
年間配当
配当利回り
平均年収
平均年齢
平均勤続年数
従業員数(連結)
決算月
創業
本社
証券コード
グラフで比べる
2社の違いを読み解く
大和ハウス工業の2026年3月期は、賃貸住宅事業が売上高1兆4,293億円と最大、戸建住宅事業1兆3,423億円、商業施設事業1兆2,902億円、事業施設事業1兆1,898億円と、4事業がそれぞれ1兆円を超えます(セグメント間取引含む)。営業利益は商業施設事業1,625億円が最大で、戸建住宅事業1,557億円、賃貸住宅事業1,411億円、事業施設事業1,276億円と続き、利益も4事業に分散しています。マンション事業は売上高2,796億円・利益60億円にとどまります。
積水ハウスは請負型・ストック型・開発型・国際の4つのビジネスモデルで開示され、2026年1月期は国際事業の売上高1兆2,864億円が事業別最大でした。ただし国際事業の営業利益は391億円で、営業利益が最大なのは賃貸・事業用建物事業の878億円です。賃貸住宅管理事業は売上高7,126億円・営業利益690億円とストック型の厚みがあり、都市再開発事業は売上高1,646億円ながら営業利益460億円と、売上に対する利益の割合が高い構成です。
成り立ちはともにプレハブ住宅です。大和ハウス工業は1955年に創業し、鋼管構造による「建築の工業化」を掲げ、1959年にプレハブ住宅の原型となる「ミゼットハウス」を発売しました。積水ハウスは1960年にプレハブ住宅の事業化を目指して積水ハウス産業株式会社として発足し、1963年に現社名となっています。その後の広がり方が異なり、大和ハウスは国内の用途別に、積水ハウスは国際事業と管理などのストック型に厚みを持たせてきました。
全社の数字では、売上高は大和ハウス5兆5,769億円(2026年3月期)が積水ハウス4兆1,979億円(2026年1月期)を上回り、営業利益は6,149億円対3,414億円、営業利益率は11.0%対8.1%です。ただし大和ハウスの営業利益には退職給付数理差異等償却益1,157億円が含まれ、これを除いた営業利益は4,992億円と開示されています。ROEは大和ハウス12.7%、積水ハウス11.3%、自己資本比率は34.4%対42.7%と、積水ハウスの方が高くなっています。
違いのポイント
- 大和ハウスは戸建・賃貸・商業・事業施設の4事業がそれぞれ売上高1兆円超(2026年3月期、セグメント間取引含む)
- 積水ハウスは国際事業の売上高1兆2,864億円が最大だが、営業利益は賃貸・事業用建物事業878億円が最大(2026年1月期)
- 大和ハウスの2026年3月期の営業利益6,149億円には退職給付数理差異等償却益1,157億円が含まれる
- 自己資本比率は積水ハウス42.7%が大和ハウス34.4%を上回り、配当性向も40.2%対30.9%と高い
- 決算期が異なり、大和ハウスは2026年3月期、積水ハウスは2026年1月期が最新の対象期
財務と株主還元
大和ハウス工業は2026年3月期に売上高5兆5,769億円、営業利益6,149億円、親会社株主に帰属する当期純利益3,506億円でした。積水ハウスは2026年1月期に売上高4兆1,979億円、営業利益3,414億円、当期純利益2,321億円です。営業利益率は11.0%対8.1%ですが、大和ハウスの営業利益には退職給付数理差異等償却益1,157億円が含まれ、除いた場合は4,992億円となります。
財務では自己資本比率が積水ハウス42.7%、大和ハウス34.4%と積水ハウスが高く、有利子負債は大和ハウス2兆8,977億円、積水ハウス1兆8,489億円、現金及び現金同等物は大和ハウス4,246億円、積水ハウス4,349億円とほぼ並びます。年間配当は大和ハウス175円(創業70周年記念配当10円を含む、配当性向30.9%)、積水ハウス144円(同40.2%)で、2026年10月30日時点のスナップショットでは配当利回りは大和ハウス3.89%、積水ハウス4.16%でした。
総資産は大和ハウス8兆4,124億円、積水ハウス5兆66億円、自己資本は大和ハウス2兆8,967億円、積水ハウス2兆1,396億円です。ROEは大和ハウス12.7%、積水ハウス11.3%と両社とも二桁です。2026年10月30日時点のスナップショットでは、時価総額は大和ハウス3兆121億円、積水ハウス2兆2,688億円、PERは8.05倍対9.72倍でした。
人と組織
連結従業員数は大和ハウス工業55,712人、積水ハウス32,186人と、大和ハウスが約1.7倍です。提出会社単体の平均年間給与は大和ハウス1,101万円、積水ハウス907万円で194万円の差があり、平均年齢は大和ハウス40.7歳、積水ハウス43.5歳、平均勤続年数は大和ハウス15.7年、積水ハウス16.2年です。対象期は大和ハウスが2026年3月期、積水ハウスが2026年1月期です。
提出会社単体の従業員数は大和ハウス工業16,508人、積水ハウス14,178人です。連結では大和ハウスが約1.7倍の規模ですが、単体同士では差が縮まります。平均年間給与の原数値は大和ハウス11,011,469円、積水ハウス9,071,924円で、平均年齢は積水ハウスの方が2.8歳高くなっています。
沿革から見る現在地
大和ハウス工業は1955年に創業し、鋼管(パイプ)構造による建築の考案で「建築の工業化」に先鞭をつけました。1959年にプレハブ住宅の原型となる「ミゼットハウス」を発売し、1961年に東京証券取引所・大阪証券取引所へ上場しています。2026年には住友電設株式会社の株式を取得し、連結子会社化しました。
積水ハウスは1960年にプレハブ住宅の事業化を計画し、資本金1億円で積水ハウス産業株式会社として発足、1963年に積水ハウス株式会社へ商号変更し、1970年に上場しました。1993年に本店を現在の大阪市北区大淀中(梅田スカイビル)へ移転しています。2026年には米国のグループビルダー4社を統合し、Sekisui House U.S., Inc.が米国戸建住宅事業の統括会社として始動しました。
読むときの注意点
- 決算期が異なります。大和ハウス工業は3月決算で対象期は2026年3月期、積水ハウスは1月決算で対象期は2026年1月期です。対象期間が2ヵ月ずれているため、売上高や利益の差をそのまま同じ期間の実力差とみることはできません。
- 大和ハウス工業の2026年3月期の営業利益には退職給付数理差異等償却益1,157億円が含まれており、これを除いた営業利益は4,992億円です。また2027年3月期の業績予想は営業利益4,000億円と、2026年3月期実績を下回る見通しが示されています。セグメントの分け方も両社で異なり、大和ハウスは用途別、積水ハウスは国際事業や管理事業を含む区分です。
まとめ
まとめると、大和ハウス工業は4事業が売上高1兆円を超える分散した構成で、売上高・営業利益とも積水ハウスを上回ります。積水ハウスは国際事業が売上最大の一方で、賃貸・事業用建物や賃貸住宅管理といった国内の請負・ストック型が利益の中心で、自己資本比率42.7%と配当性向40.2%が大和ハウスを上回ります。住宅大手でも、用途の広げ方と収益モデルの置きどころが異なる比較です。
決算期のずれ(3月期と1月期)を差し引いても、規模と利益額では大和ハウス、財務の厚みと還元水準では積水ハウスという構図は変わりません。両社の開示の分け方が異なるため、事業別の比較は用途と収益モデルの対応を意識して読む必要があります。
数字の出典と確認日は各社の企業ページに記載しています(この比較の確認日: 2026/11/05)。