数字の要点
通期予想に対する進捗
中間期の売上高2,069億円 ÷ 通期予想4,550億円
中間期の営業利益95億円 ÷ 通期予想435億円
中間期の親会社の所有者に帰属する中間利益74億円 ÷ 通期予想287億円
- 減益の主因は、米国連結子会社のクリタ・アメリカ, Inc.が施工中の電子産業向け大型水処理装置案件1件です。会社は、米国固有の規格・設計認証や顧客要件への対応で設計の遅れや品質上の課題が生じ、見積工事原価総額を大幅に引き上げた結果、工事進捗率の低下でこれまで計上していた売上高と利益が減額され、損失見込額を工事損失引当金として計上したと説明しています。電子市場は事業損失60億円となりました。
- 一方、継続事業の受注高は3,596億円↑ 前年同期比81.8%増と大きく伸び、電子市場の受注高は同194.3%増でした。半導体工場の新設・増設投資を背景に、日本、東アジア、米国で大型案件の受注を複数獲得しています。一般水処理市場も事業利益123億円(同4.9%増)と堅調で、減益は特定案件に起因する構図です。
- 営業利益には一時的な要因も含まれます。ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ, Inc.の株式譲渡(2026年6月30日完了)に伴う換算差額50億円をその他の収益に計上した一方、クリタ・アメリカの水処理装置製造工場に係る有形固定資産の減損損失16億円も計上しました。
- 通期予想は10月29日の修正値(売上高4,550億円、営業利益435億円、親会社の所有者に帰属する当期利益287億円)から変更ありません。進捗率は売上高45.5%に対し、営業利益21.9%、親会社の所有者に帰属する中間利益25.8%にとどまります(進捗率は当サイトの計算)。
栗田工業の2027年3月期中間期(2026年4月1日〜9月30日)の連結業績は、売上高2,069億円↑ 前年同期比9.3%増、事業利益63億円(同74.0%減)、営業利益95億円(同62.5%減)、税引前中間利益112億円(同55.5%減)、中間利益75億円(同56.8%減)、親会社の所有者に帰属する中間利益74億円(同56.9%減)でした。基本的1株当たり中間利益は68.71円です。なお、売上高、事業利益、営業利益、税引前中間利益は、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の事業を非継続事業に分類した継続事業ベースの金額で、中間利益と親会社の所有者に帰属する中間利益は継続事業と非継続事業の合算です。継続事業の受注高は3,596億円(同81.8%増)と大きく伸びました。財政状態では資産合計5,479億円、親会社の所有者に帰属する持分3,031億円、親会社所有者帰属持分比率は55.3%でした。
セグメント別の動き
電子市場は、受注高2,313億円↑ 前年同期比194.3%増、売上高937億円(同15.6%増)でした。水処理装置は、世界的な半導体工場の新設・増設投資の活発化を背景に、日本、東アジアおよび米国で大型案件の受注を複数獲得し、受注残からの売上計上も増えました。継続契約型サービスは新たな超純水供給契約の開始で増え、国内精密洗浄も増加しました。一方で利益は、米国で施工中の大型案件における追加コストの発生により、事業損失60億円(前年同期は事業利益125億円)となりました。営業損益は、クリタ・アメリカ, Inc.の水処理装置製造工場に係る有形固定資産(使用権資産を含む)の減損損失16億円を計上したものの、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ, Inc.の株式譲渡に伴う在外営業活動体の換算差額50億円をその他の収益に計上したことから、営業損失27億円でした。一般水処理市場は、受注高1,283億円(同7.6%増)、売上高1,131億円(同4.5%増)、事業利益123億円(同4.9%増)、営業利益123億円(同2.4%増)でした。水処理薬品はCSVビジネスの伸長と円安進行に伴う円換算額の増加で伸び、継続契約型サービスも増えた一方、水処理装置は前連結会計年度の複数の大型案件の売上計上の反動で減り、メンテナンスも減少しました。付加価値の高いCSVビジネスの伸長で原価率は改善したとしています。
通期予想と配当
通期(2027年3月期)の連結業績予想は、売上高4,550億円↑ 前期比12.9%増、事業利益400億円(同30.2%減)、営業利益435億円(同25.4%減)、税引前利益430億円(同26.1%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益287億円(同79.9%増)、基本的1株当たり当期利益269.41円で、業績予想の修正はありません。会社は、2026年10月29日発表の「工事損失の計上による業績予想の修正および個別決算における特別損失の計上に関するお知らせ」に記載した通期の連結業績予想のとおりに推移するものと考えていると説明しています。中間期実績の通期予想に対する進捗率は、売上高45.5%、営業利益21.9%、親会社の所有者に帰属する中間利益25.8%です(進捗率は当サイトの計算)。配当は中間67.00円が決まり、期末予想67.00円とあわせて年間134.00円の予想で、配当予想の修正はありません。前期は中間56.00円・期末56.00円の年間112.00円でした。なお、当中間期には自己株式の取得による支出343億円があり、自己株式は前連結会計年度末から336億円増えています。
会社自身の説明
会社は減益の要因について、米国で現在施工中の電子産業向け大型水処理装置案件1件で、米国固有の規格・設計認証や顧客要件への対応において、設計の遅れや品質上の課題が生じ、設計の見直し、部材の追加調達、モジュールの再製作等の追加対応に係るコストが発生することが見込まれるため、当該案件の見積工事原価総額を大幅に引き上げたと説明しています。工事進行基準を適用している当該案件では、見積工事原価総額に対する実発生原価の割合である工事進捗率が低下し、これまで計上していた売上高および利益が減額されました。また、見積工事原価総額が受注高を超過することが見込まれることから、損失見込額を工事損失引当金(売上原価)として計上しました。流動負債の引当金は、前連結会計年度末の24億円から113億円へ増えています。キャッシュ・フローは、営業活動による収入199億円、投資活動による支出125億円、財務活動による支出188億円で、現金及び現金同等物は553億円でした。
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出典
栗田工業株式会社 2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年11月5日) 一次資料(2026/11/06確認)。数値はこの資料の記載値です。