コンビニエンスストア、工場、建設現場、介護施設。外国から来た働き手は、今や日本の職場のあちこちにいます。では、その人数はどれくらいで、日本の労働力全体の何パーセントに当たるのでしょうか。厚生労働省が公表する「外国人雇用状況の届出状況」と、総務省の労働力調査という二つの公式統計を並べると、規模と内訳が見えてきます。このコラムでは、企業別のランキングのような確認の難しい情報は作らず、公表された統計で確認できる範囲で、外国人労働者の姿を整理します。数字の基準時点や定義が統計ごとに異なる点にも注意しながら読み進めます。

外国人労働者は230万人、届出が義務化されて以来の最高

厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」は2025年1月31日に公表されました。それによれば、外国人労働者数は​230万2,587人で、前年より​25万3,912人増え、増加率は12.4パーセントでした。届出が義務化された2007年以降で最高を更新したとされています。外国人を雇用する事業所数は34万2,087か所で、前年より2万3,312か所、7.3パーセント増えています。この統計の土台は、労働施策総合推進法に基づく届出制度です。事業主は外国人を雇い入れたときと離職したときに、氏名、在留資格、在留期間などをハローワークへ届け出ることが義務付けられています。ただし、特別永住者と「外交」「公用」の在留資格の人は対象外です。つまりこの数字は、日本で働く外国人の全体像に近いものの、制度の対象範囲の中で数えた人数だという前提があります。

労働力人口6,957万人と比べると約3.3パーセント

総務省の労働力調査によれば、2024年平均の労働力人口は​6,957万人で、前年より​32万人増え、2年連続の増加でした。就業者数は​6,781万人で、こちらは4年連続の増加です。外国人労働者数​230万2,587人を労働力人口​6,957万人で割ると、約3.3パーセントになります。ただし、この割合は公表された公式の比率ではなく、二つの統計から計算した目安です。外国人雇用状況は2024年10月末時点の届出ベース、労働力調査は2024年の年平均と、時点も数え方も異なります。それでも、およそ​30人に​1人が外国人労働者という規模感は、職場の実感とも大きくは外れていません。人手不足が言われる分野ほど、この働き手の存在は欠かせないものになっています。

国籍別・在留資格別に見る働き手の内訳

国籍別では、ベトナムが​57万708人で全体の24.8パーセントを占めて最も多く、中国が​40万8,805人で17.8パーセント、フィリピンが​24万5,565人で10.7パーセントと続きます。在留資格別では、「専門的・技術的分野」が​71万8,812人で初めて最も多くなり、前年から20.6パーセント増えました。この区分には、技術・人文知識・国際業務の​41万1,261人や、特定技能の​20万6,995人が含まれます。次いで、永住者など「身分に基づく」在留資格が​62万9,117人、技能実習が​47万725人、留学生のアルバイトなどを含む「資格外活動」が​39万8,167人、特定活動が​8万5,686人です。技能実習や留学だけでなく、専門職として働く人と、日本に生活の基盤を持つ人が大きな割合を占めていることが分かります。

産業別では製造業が4分の1、働く場は中小の事業所にも広がる

産業別に人数を見ると、製造業が​59万8,314人で全体の26.0パーセントを占め、最も多くなっています。内訳では食料品製造業が​18万9,693人、輸送用機械器具製造業が​10万1,282人などです。次いで、サービス業(他に分類されないもの)が​35万4,418人で15.4パーセント、卸売業・小売業が​29万8,348人で13.0パーセント、宿泊業・飲食サービス業が​27万3,333人で11.9パーセント、建設業が​17万7,902人で7.7パーセント、医療・福祉が​11万6,350人で5.1パーセント、情報通信業が​9万546人で3.9パーセントとなっています。事業所の数では卸売業・小売業が6万4,124か所で最も多く、製造業が5万6,692か所、宿泊業・飲食サービス業が4万8,922か所、建設業が4万4,811か所と続きます。また、従業員​30人未満の事業所が全体の62.4パーセントに当たる21万3,517か所あり、そこで働く外国人労働者は​83万2,555人で36.2パーセントを占めます。外国人雇用は大企業だけの話ではなく、中小の職場にこそ広がっているのです。

会社選びで外国人雇用の情報を見るときの注意点

就職や転職で会社を選ぶとき、その会社で外国人がどれくらい働いているかを知りたい人もいるでしょう。ただし、企業ごとの外国人従業員数を横並びで比べられる公式統計は、一般的には公表されていません。統合報告書や有価証券報告書に記載がある会社もありますが、数え方の定義は会社ごとに異なり、単純なランキングには向きません。本コラムでも、確認できない企業別の順位は作っていません。代わりに役立つのは、産業別の構成です。自分が目指す業界で外国人労働者が増えているかどうかは、職場の多様性や、海外事業との関わり方を考える手がかりになります。統計を読むときは、時点と定義を確認する習慣が大切です。届出ベースの数字なのか、調査への回答ベースなのかで、意味は変わってきます。

もう一つ、統計の読み方として押さえておきたいのが、事業所数と人数の違いです。外国人を雇用する事業所は34万か所を超えましたが、1事業所当たりの人数は事業所の規模によって大きく異なります。従業員​30人未満の事業所が数では多数派でも、そこで働く外国人労働者は全体の36.2パーセントにとどまります。残りはより大きな事業所で働いている計算です。また、在留資格の構成が変わってきた点も見逃せません。専門的・技術的分野が最大の区分になったことは、外国人労働者が単純労働の担い手としてだけではなく、技術者や専門職として日本の企業に定着し始めていることを示しています。技能実習から特定技能へ、留学から就労へと、在留資格を移しながら長く働く人も増えていると考えられます。統計は一時点の断面ですが、区分ごとの増減を追うことで、働き方の変化の方向が見えてきます。

外国人労働者は​230万人を超え、労働力人口の約3パーセントを占めるまでになりました。国籍はベトナム、中国、フィリピンが中心で、在留資格は専門的・技術的分野が最大の区分になり、働く場は製造業を中心に、サービス業、小売業、飲食、建設、医療・福祉へと広がっています。しかも雇用の受け皿の中心は、従業員​30人未満の小さな事業所です。外国人と一緒に働くことは、特定の業界だけの特別なことではなく、日本の職場の標準になりつつあります。会社選びでも、統計の裏付けのある数字をもとに業界の姿をつかむことが、確かな第一歩になります。数字は毎年更新されますので、最新の届出状況と労働力調査をあわせて確認することが大切です。

出典(3件)